アメリカに負けたがん対策
Medical Tribuneに大阪国際がんセンターがん対策センター特別研究員 大島 明先生の寄稿文が載っていて、それを読みました。予防医療の中で”がん”にはほとんど興味のないわたしではありますが、人間ドックや健診を生業(なりわい)にしている身としては、がん死亡率がアメリカより上になりそうだというデータはちょっと気になるところ。
「1971年のニクソン米国大統領(当時)のがんに対する戦争宣言以来のがん対策の取り組みの成果として、米国のがん死亡率(男女合計、2000年米国人口を標準とした年齢調整死亡率)はピーク時の1991年から2016年までの25年間で27%低下し、部位別には肺がん、大腸がん、乳がんなど多くの部位で死亡率が減少していた」これに対して、日本は、「日本のがん死亡率(男女合計、1985年日本人人口を標準とした年齢調整死亡率)も、ピーク時の1996年から2017年までの21年間に28%減少している」のだそうです。ところが、日本の場合は胃がんと肝がんの死亡率の減少によるところが大きく、これは検診のおかげではなくて上水道の完備や衛生観念の改善などの影響が大きい。
一方で、今、日本の部位別がん死亡のトップは、男性では肺がん、女性では大腸がんですが、この2つのがんについてはもうすぐアメリカの方が死亡率が低くなるのだそうです。
・肺がん死亡率:近く日米が逆転するのは必至、原因はたばこ対策の遅れ
・大腸がん死亡率:逆転を許した原因は大腸内視鏡検査の非推奨
ま、さもありなんの考察が示されておりました。どっちも国の施策・・・いくら健診現場が禁煙(たばこ不買)と大腸ファイバーを薦めていても、国は動く気はありません。自分の身は自分で守るしかない日本の現状を鑑みれば、身を守るすべは決まっているような気がします。
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