敵は内蔵脂肪よりも脂肪肝!
『日本人男性は肥満でなくても、脂肪肝があると筋肉のインスリン抵抗性を来し、糖尿病になりやすい』『内臓脂肪が蓄積していても、脂肪肝がなければインスリン抵抗性はみられない』・・・配信されてきたCareNetに紹介された、順天堂大学大学院代謝内分泌内科学・スポートロジーセンター准教授の田村好史氏らがJournal of the Endocrine Society 5月20日オンライン版に発表した内容は、意外に重要なことだと思いました。
メタボや糖尿病の人が運動不足や食べ過ぎで余ってしまった脂質を皮下脂肪ではなくて内蔵脂肪や脂肪肝として蓄積することは『インスリン抵抗性』として多くの人(専門家も一般市民も)が耳にしたことのある情報です。ところが、このインスリン抵抗性を引き起こす原因が内蔵脂肪の巨大化に起因するのか脂肪肝に起因するのかが明確ではなかった(わたしはどちらかといえば内蔵脂肪の暴走が主犯格だと理解していました)のです。それを検討したのがこの報告なのですが、それによると『内臓脂肪の蓄積がなくても、脂肪肝がある群では骨格筋のインスリン抵抗性が認められたのに対し、内臓脂肪が蓄積していても脂肪肝がなければ、インスリン感受性は良好であることが分かった』『内臓脂肪蓄積+脂肪肝群と脂肪肝単独群のインスリン抵抗性には差がみられないことも明らかになった』というのです。
太った人がダイエットを試みてかなりやせたとしても脂肪肝は最後まで消失しない、ということはよく経験します。それは運動などで一気に蓄積エネルギーが減少したのを身体が危機的状態と判断して前よりも貯め戻す対応をするようになるからだと理解して、受診者さんにも話していました。そうじゃなかったということでしょうか。とにかく、『肥満のない日本人男性では、内臓脂肪の蓄積よりも脂肪肝が筋肉の代謝障害と強く関連する』ということを意識して、減量に取り組むように働きかけることにしましょう。
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