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『プレゼンティーズム』

働く人たちに対して、メンタル不調の人を早めに見つけ出して対処してあげることで、離職やうつ病発症だけでなく、自殺や生命に関わる病気を起こさせないようにすることを目的に、ストレスチェック制度が始まって数年になります。これは、会社や自治体などの管理する側が現状を把握して健全な職場になれるように対処できる意義もありますし、検査(質問票の回答)を受けた人の各々が自分のストレスの状態を客観的に知ることができる意義もあります。

最近は『健康経営』というワードもよく耳にするようになりましたが、健康経営とは「経営者が従業員とコミュニケーションを密に図り、従業員の健康に配慮した企業を戦略的に創造することによって組織の健康と健全な経営を維持していくこと」と定義されているようです(健康経営研究会)。

わたしはある企業の産業医をしているため、自分の職場で自らのチェックを受ける立場であるだけでなく、チェックを受けさせてそれを集計分析して高ストレス者を選定した上で希望者には面談をする立場でもあります。

そんな中で、最近クローズアップされ始めている概念が『プレゼンティーズム』です。メンタル不調のために欠勤したり病気療養したりする人たちをアブセンティーズム(病欠状態)と呼ぶのに対して、実はそんな人は氷山の一角で、水面下にはもっと多くの予備群(アブセンティーズムの前段階)の人たちがたくさん潜んでいる・・・たとえば遅刻が多かったり、やる気喪失状態の人、あるいは何らかの不調を抱えて出勤し、士気と業務遂行能力が低下している状態の人など・・・これをプレゼンティーズムと呼ぶのだそうです。見るからにやる気がなかったり調子悪そうで「早く帰って休んだら?」と云いたくなる人はまだわかりやすいですが、プレゼンティーズムの実態が捉えられにくいのは、そんな態度をあからさまに表に出さないように努めてがんばろうとする人がたくさんいるからでしょう。これを把握できるような質問も追加されたりするのですが・・・さて、勤勉でプライドの高い日本の労働者のプレゼンティーズムの実態把握は本当にできるのでしょうか。

 

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