説明している人に実感がない?
『死の四重奏』というのを知っていますか? 肥満、糖尿病、脂質異常、高血圧の4つが揃っていると心筋梗塞など命に関わる心臓病に罹る危険性が普通の人の35倍にまで跳ね上がる、というものです。これは動脈硬化に対する予防医学の基本なのですが、これを受診者の方に説明する立場の医療者である保健師さんや医者までもが勘違いして居るのではないかと思います。彼らは、「今のままの生活を続けていると、将来心筋梗塞になったりする危険性があるんですよ」と説明しているようなのです。
『死の四重奏』はそんな甘い概念ではありません(メタボ健診の基準と混同しているのではないかと思います)。『死の四重奏』は、「いま目の前で、あるいは今日の帰り道で、突然心筋梗塞になって倒れても誰も驚きませんよ」というレベルのものなのです。
『境界型糖尿病』の概念もみんな間違えています。「まだ今は予備軍だけど、早く生活を変えないと将来糖尿病になるかもしれないよ」という甘い云い方をしている人がなんと多いことか。実際には、この境界型糖尿病(糖代謝異常)の時期に動脈硬化が一番加速度を増して進行する時期なのです。そんな怖い時期なのに、糖尿病になってないからくすりすら処方してもらえないのです。「まだ、くすりは要らない(まだ軽症)」のではなく、「くすりももらえないのに病気が進行するから、死に物狂いで生活療法をしないといけない時期」なのです。もっと悪くなってくすりをもらえるレベルになったら、もう少し落ち浮いた時期になれるのです。
説明者に実感がわかないのは、皆が若くて自分に関係ないから? とにかく実感がわかないままに説明しているから、その重篤感が伝わらず、「まあ、そのうちに」と云って逃げられることになる。それがものすごく残念です。
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