「なし」はいつまでも「なし」ではない
病気の診断のために精査をすると、最終的に「異常あり」「異常なし」の区別をつけてくれます。
「あり」という診断を受けるとそれに対して何とかしようとするけれど、「なし」の診断をつけられたときが問題です。たとえば不整脈、緑内障、糖代謝異常・・・「むかし検査を受けたら『問題ない』といわれたので」という理由で、健診時に精査の指示を出しても無視する人がなんと多いことか。
眼底検査で『乳頭陥凹拡大』があると緑内障の危険性があるために眼科受診を指示します。眼圧が上がらない『正常眼圧緑内障』が日本人には多く、この病気は加齢黄斑変性症と並んで日本人の失明の主な原因になる重要な病気です。だから、精査の指示を出すのですが、病気は徐々に進行するもの・・・5年前に「問題ない」と云われたとしてもそれが今後の「問題ない」を保証するものではありません。わたしたちは、以前に精査を受けて「問題ない」と云われたことを承知の上で、それでもそろそろもう一度診てもらったほうがいいと判断したときに要精査の指示を出します。だから、そのときには改めて受診してほしいものです。
境界型糖尿病も同様です。「まだクスリは要らない」と云われたことを楯にその後の受診をしないばかりか、「糖尿病ではない」と云われたからといって放ったらかす。その結果として数年後には目も当てられないほどの糖尿病に進行してしまう。「もう糖尿病になっているので受診してください」と説明しても、「オレは糖尿病ではないと云われた」と主張する人・・・そう珍しくありません。困ったものです。
「あり」という診断を受けたものは精査は1回だけで十分です。でも、「なし」の診断は数年経てば”過去の思い出”と思ってほしいものです。
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