スピリチュアルペイン
先日、久しぶりに日本健康文化振興会の生活習慣病指導専門職セミナーに参加してきました。
今回のテーマは『がん医療の最前線』・・・医者になって35年以上、研修医時代を除けば一番興味がなかった『がん医療』について、予防医療に従事する者としては少しは勉強しなければならないかなと思って参加したのですが、「がん検診」は胃がんと大腸がんに特化していたし、「がん治療」はほぼ肺がんについてだったのでちょっと残念でした(どれもうちの施設では大部分が行われていることばかりでしたので)。でも、最後のセッション『がん患者の心理を理解する』(国立がん研究センター中央病院 精神腫瘍科 清水研先生)はとても勉強になりました。
それは、『スピリチュアルペイン』・・・生きがいの喪失、今までの価値観の崩壊、世界観の崩壊・・・もはや生還はむずかしい進行がんを宣告された患者さんが、今まで生きる糧にしてきたすべてのものを失う感覚を指すのだそうです。人は生きていく上で、こうやってこんな人生を送りたいというビジョンがあるのだけれど、それがある日突然、回復不能ながんの宣告を受けた途端に、すべてが崩壊する。「今日、だれとどんな体験をしたか」「それが広い宇宙の中で何の意味があるのか」「自分の今日一日は何だったのか」「自分の存在は意味があるのか」・・・普通だったら考えることもなかったであろうそんなことを考え、”つらい考えや感情が巡る時期”を経て”自分が病気になったことの意味を考える”ようになり、そして新たな世界観を得るようになるという。不幸にしてそこまでに至れなかったとき、うつ病になった自殺を選ぶことになるのだそうです。
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