高齢になってからスタチンやめるべからず?
"心血管疾患(CVD)の初発予防目的でスタチン系薬を使用していた75歳以上の高齢者が使用を中止すると、継続していた場合と比べて心血管イベントのリスクが上昇することが、約12万例を対象としたフランスの住民コホート研究で示された。フランス・Assistance Publique-Hôpitaux de ParisのPhilippe Giral氏らがEur Heart J(2019年7月30日オンライン版)に発表した。"
(Medical Tribune 2019.8.21配信)
心血管疾患発症を予防するために、その危険因子である脂質異常症に対してスタチン系薬剤を服用するかどうか、特に「スタチンの長期服用によって認知症発症の危険性が増加する」というデータが巷にあふれ出るようになって、医療現場でも混沌としているのではないかと思います。認知症のことが自分の問題として身につまされる高齢者にとっては本当に悩ましく、勝手に服用を止めた人も少なくないと聞きます。以前、ここでも書きましたが、そもそも心血管だけでなく脳血管疾患予防の意味も含めてコレステロールのコントロールをするためにスタチンを服用しているのに、副作用としての認知症が怖くて服薬中止して結局脳梗塞など起こして認知症になるのでは本末転倒・・・。
今回のこの報告は、ずっと服用していた人が歳をとってから止めると、一気に心血管疾患のリスクが46%も上昇したという脅しにも似た報告なのですが・・・これ、そもそも若い頃から服用していた人の話です。高齢になってから服用開始した人の効果がどうとか、初めから未治療の人と比べたらどうかとか、そういうありがたい比較があった方が説得力がありましょう。「歳をとってから薬を止めたらひどい目に遭うぞ」というのは「やめられないのなら最初から薬なんか飲まないに越したことはない」という、高血圧や糖尿病で半世紀前から謳われている都市伝説のたぐいになる懸念を感じました。
| 固定リンク
「心と体」カテゴリの記事
- フレイル予防(2024.10.02)
- 酒で糖尿病リスク減?(2024.09.30)
- 転倒リスク予測(2024.09.25)
- ペットと食物アレルギー(2024.09.24)
- 手に汗があふれる(2024.09.20)
コメント