肥満はやはり健康の敵のようである。
肥満は、アディポネクチンなどを介して2型糖尿病や高血圧のリスクを高めるとか、炎症反応を介して動脈硬化を助長するとか、そういう間接的な心疾患リスクの上昇が問題なのだと云われてきましたが、どうもそれだけではないみたい。「太っていることは決して悪いことではない。瘦せているよりも小太りの方が健康で長生きだ」という理論をずっと主張している専門家も少なくありません。そこに、ここのところあちこちから肥満についての研究報告が出てきました。最近Care Netで紹介されたものを2つ載せてみます。
英オックスフォード大学心臓血管内科教授のCharalambos Antoniades氏らの研究報告で、『肥満の心疾患患者では、動脈周囲の脂肪組織で「WNT5A」と呼ばれるタンパク質が多く産生され、血管内に有害な影響を与えている可能性があることが分かった』『肥満患者では血中のWNT5Aレベルが著しく高いことが分かった。また、WNT5Aは特に動脈周囲にある脂肪組織から大量に放出されていることを突き止めた。さらに、WNT5Aレベルが高い患者では、その後3~5年の間に、動脈内にプラークがより速く蓄積することも明らかになった』というもの(Science Translational Medicine:2019.9.18)。このタンパク質が肥満者から多く産生されて直接血管を傷つけるから有効な薬剤開発を期待しているようではありますが、『「新たな治療につながる可能性があるため、肥満と心疾患が関連するメカニズムの解明は重要だ」とした上で、薬物治療よりも健康的な生活習慣を重視すべきだと強調している』という部分は評価できると思います。
<肥満と腸内細菌の関係に新知見-ポイントは「食用油の代謝」>
『腸内細菌が多価不飽和脂肪酸を他の脂肪酸に変換する過程で、宿主のエネルギー代謝を調節しており、その能力次第で肥満が改善または悪化する』『腸内細菌叢は食事中に含まれている多価不飽和脂肪酸の代謝を制御しており、高脂肪食によって誘発される肥満や炎症に関与していることがわかった』というもの。東京農工大学大学院農学研究院応用生命化学代謝機能制御学の木村郁夫氏らの研究です(Nature Communications:2019.9.5)。ん~ちょっと待って。これ、なんかちょっと面倒。だからどうしたらいいの?というのが、なんか良く理解できませんでしたので詳しくは書きません。すみません(笑)
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