メタボとフレイル
<メタボ対策からフレイル対策へシフトするタイミング【高齢者糖尿病診療のコツ】>
Care Netに連載の『高齢者糖尿病診療のコツ』第17回のテーマがこれ。そうなんです。糖尿病の有無とは関わりなく、若い間ずっと「メタボ!メタボ!」と指さされ、「今メタボを改善させないと今日の帰りに心筋梗塞で倒れてもおかしくないぞ!」と脅されていた御仁が、ある日を境にして今度は「ちゃんと食べて体重が減らないように気をつけないとフレイルになって介護保険のお世話にならなきゃいけなくなるぞ」と云われる・・・そんな理不尽な概念を、指導する立場の私たちはどうしたらいいのか、いろいろな学会で耳を澄ませてそこのところを聞き取ろうとしてみるけれど、だれもが曖昧なことしか云ってくれない。「個人差があるから」とか云いながら。
それに対して回答をしてくれた東京都健康長寿医療センターの先生方のこの記事はそれなりに参考になりました。
”一般住民の縦断調査では65歳以下ではタンパク質摂取が増えるほど死亡リスクが高くなりますが、66歳以上ではタンパク質摂取が少ないほど死亡リスクが上昇しています”
”メタ解析で健康的な食事パターンは65歳以上でのみ、フレイルのリスクを減らすことが報告されています”
”J-EDIT研究では、75歳以上の高齢糖尿病患者でのみ、野菜や魚が多い“健康食事パターン”は、肉や脂肪の摂取が多い“肉食食事パターン”と比べて死亡が少ないという結果が得られています” など。
メタボ対策からフレイル対策へシフトする目安も一応は決まっていますが、実際には当然生活歴や持病やそもそもの体格などが関連するので、単なる統計学や疫学だけで一律に決める話ではありません。昨年、新しい糖尿病診療ガイドライン2019(※)が発表されましたが、テレビやマスコミがそれを適当な素人解釈でまことしやかにまくし立てるのだけはやめてもらいたいものだと思います。
※日本糖尿病学会は、昨年秋に発表された『糖尿病診療ガイドライン2019』で食事療法について改訂を行い、標準体重ではなくて、年齢を考慮した目標体重を用いた新たな総エネルギー摂取量の設定法を提案しました。
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