有意差って何だろう
今年は軒並み学会開催中止ばかりのご時世ですが、昨年の冬に横浜の学会に参加してきたときのことです。いつもはシンポジウムや教育講演、あるいは特別講演などメインどころをハシゴして田舎医者として新しい知見を得ようと動き回るのが常でしたが、このときはめずらしく一般演題の発表を中心に聴きました。
若い将来有望な先生方の発表を眺めながら、みなが必ず使う共通用語、『統計学的有意差』が耳について離れません。最近は自分で研究して学会発表したり論文投稿したりすることがなくなりましたから直接統計処理などする機会もありませんが、むかしからずっと気になっていたのです。
「有意差って、何?」
統計学を駆使して統計学的に有意差が証明されると初めて"意味のある研究"として世間に認めてもらえるのですが、統計処理をしなければ有意かどうかもわからないレベルの差って、実際の臨床現場で意味はあるの?という疑問です。「心電図所見のこれが認められる群と認められない群とに分けて心臓収縮機能を比較したところ、認められる群の方が”わずかではありますが”有意差をもって低下していることがわかりました」という研究成果があったとして、その”わずか”の有意差があったことによって、今後の治療の要否の判断材料になりえるのだろうか?と思うことをたくさん経験してきました。どこか、研究発表のための研究、自己満足のための有意差検定になっていないだろうか、という疑問。もっと、一目瞭然でクリアカットに0か100かを振り分けられるものでなければ、臨床現場で用を成さないのではないでしょうか。まあ、そんな現象、現代社会ではそうたくさんあるものではないですけど、それでも今新しい指標になっていくものはすべてがそんなモノですから、若い研究者のみなさん、是非統計学的有意差なんかに頼らなくても良いような大発見をすべく、日夜研究に励んでください。
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