口は何のためにある?
動物の口は何のために存在するのか? 考えたことはありますか。
人と会話するため? 人を褒めるため、ののしるため、告げ口するため、愛を語るため・・・? 声を出すため? 呼吸するため? 愛する人とキスするため? 感情を表す表情を作るため?
いろいろあるけれど、わたしは基本的には口はモノを食べるためにあるものだと考えています。栄養補給は点滴でもできるし胃にチューブを入れて流し込むこともできますが、自分の力で自分の口で噛んで飲み込むのが基本。そのプロセスを通過するかしないかは雲泥の差であり、認知症患者さんや高齢者が口を使わずに栄養管理し始めた途端に一気に衰えてしまうことは医療者でなくてもよく知られていることです。
でも、そんな医療管理上の問題やエネルギー効率・消化の善し悪しの問題もさることながら、やはり口を使ってモノを食べることの一番重要な意義は、『おいしい』という喜びを得ることでしょう。それは人間としての尊厳であり摂理です。「おいしくなければ食べても意味がない」・・・端的に云えばこういうことですよね。だから、『健康のための食べ方』『糖尿病や脂質異常症を予防するための食べ方』などと云いながら専門家たちが熱く語っていることが、「おいしく食べる」を二の次にしては意味がないわけで、わたしも含めて指導する側は常にそのことを最優先に考えて話すべきです・・・かなり前からそう主張してきているわたしではありますが、コロナ禍で新しい生活様式を考える上で、何かと”食べること”そのものが変わってしまった(外食できずにテイクアウトが増えたり、家族みんなが自宅に居るようになって昼食形態が変わったり、自分で料理を作る機会が増えたり)昨今、予防医療の概念を軽視することなく、今まで以上に『おいしく食べる』健康法を研究していきたいと思っているところです。
参)『口は何のためにあるか(何のための知識シリーズ (6)) 』
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