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メタボは時間制限で勝つ?

日本抗加齢医学会雑誌の時間栄養学の特集の中で、まず最初にわたしの仕事に関連しそうな題材として飛び込んだのは、大池秀明先生(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構食品研究部門)の『メタボ異常と時間栄養』という話でした。

メタボリックシンドロームに代表される生活習慣病の管理に一番大事なことが食事。でも、ヒトのカラダは単なるカロリー理論だけでは通用しないことは、ダイエットを試みるすべての人が実感していることであり、わたしたち指導する側も頭を悩ませるポイントです。ヒトにはホメオスターシスという人類が生き延びるための仕組みが備わっているからです。そこでこの時間栄養学=「いつ」食べる?の理論が重要になるわけです。大池先生曰く、

「メタボ対策は『時間』を制限すればよい」

生物が生きていく上で最適な状態を作り出すためには”活動期のエネルギー回転を高め、休憩期のエネルギー回転を低下させる”というメリハリが必要になります。このメリハリのある生活を送るためのポイントが書かれていました。

①時間制限の食事法→食事は8~10時間にまとめる
・「だらだら食い」は太り、「活動期しか食べない」とやせる。
・食事のメリハリをつけるとエネルギー代謝の日内変動が生じ、エネルギーをしっかり使うようになる。
・「だらだら食い」は代謝経路の時間的切り替えが起こりにくく、脂質合成ばかり進む。
・高脂肪食は食欲のメリハリを弱めて、代謝が低下し、合成系が亢進する。

②夜型生活をやめよう
・ヒトの身体機能や脳活動が最大になるのは体内時計が起きてから6時間後。
・朝は基礎代謝を上げていく時間帯なので入ったエネルギーは活動度向上に使われるが夕食の大半は備蓄に分配される。

③不規則な食事はやめよう~体内時計は食事の時間帯を覚える機能がある。
・毎日同じ時刻にエネルギー補給できるとわかれば無理にエネルギー節約を要さない。
・エネルギー補給が不規則だと、次がいつになるか分からないので節約モードになる。
・不規則な食生活は蓄積型(省エネ型)エネルギー代謝になる。
・シフトワーカーは太りやすく、がんになりやすい。
・夜型食事で乳がん、前立腺がんになりやすい。
・平日と休日のリズムが変わるとカラダも脳もパフォーマンスが落ちる(太りやすい、成績が落ちる)

④糖尿病予防~インスリン感受性は朝に高くなり夜に低くなる
・同じ量を食べると、血糖値上昇は夜が一番大きく、朝が一番小さい。
・仕事終わりに夜遅い食事をすると、血糖値は一気に上昇する。
・朝か昼に食物繊維を取るとセカンドミール効果で夕食の血糖上昇も抑えられる。
・分食するなら朝多く、夜少なくした方が有効。
・睡眠不足は血糖コントロールを悪化させる。

 

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