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高齢者のタンパク制限の問題(2)

(つづき)

各々の先生の意見のいくつかを列挙します(自分の備忘録の意味も含めて)。

・佐久市コホート研究では、「毎日肉を食べている人はeGFR(腎機能の予備能の指標)低下率が高い」との報告。
・赤身肉や加工肉は腎機能低下リスクになるが、鶏肉や魚はリスクなしという報告。
・65歳以上の女性では,タンパク質摂取量と虚弱とに有意な逆相関があるという報告。
・1g/kg体重以上のタンパク質摂取はサルコペニア発症予防に有効であるという報告。

<高タンパク食不要論:渡邊昌先生>
※日本ではタンパク質摂取のみ強調されるが、エネルギー源摂取が忘れられている。
※肉を食べれば肉になるのか?
※長寿村vs短命村:長寿村では、やさい(特にニンジン、カボチャ、ナガイモ)を食べる、米より麦が主、大豆、大豆製品を食べる、小魚を食べる、魚の内臓も食べる、海藻が常食で、ゴマもよく食べる。でも、タンパク質摂取が多すぎると若いときは筋骨隆々だが皆若死にしている。
※エネルギー源が足りないと筋肉を分解してグルコースを作り出して血糖をあげようとするわけだから、エネルギー不足からくる筋肉分解を誘発する。糖質・脂質・タンパク質のバランスが求められる。
※「高タンパクは腎不全を起こす」
※「腸内フローラと食事の共存」
※『おいしくないものは滋養にならない』

<高タンパク食必要論>藤田聡先生
※骨格筋は身体活動を生み出す重要な組織であり、骨格筋の増量と筋力強化は身体運動の基礎である。
※筋量低下→予備能低下→ケガや疾患が重症化しやすい。
※骨格筋は体重の30~40%を占める。
※骨格筋は常に合成(同化)と分解(異化)のバランスで一定に保たれている。
※食事により、筋タンパクの合成速度が2倍になる(特にタンパク質摂取の時に著明になる)。
※高齢者は少量のアミノ酸では効果不十分で、一度に充分量のタンパク質を取り続けていかないとサルコペニアになっていく。
※3食不均等にタンパク質を摂取するとフレイルになりやすい!→0.4g/kgに達していないと十分なタンパク合成ができない。
※3食不均等(夜に多い)のタンパク質摂取の高齢者は、3食均等に摂取している高齢者よりフレイル発症リスクが高い→特に朝はタンパク質が少なすぎる。
※3食のうち、1食でもタンパク質の必要量を満たしていない群は、3食すべて充足している群に比べて、除脂肪量が有意に少ない→朝食のタンパク質不足が筋量低下リスクになっている!

●高齢者は若年者に比べて、骨格筋のタンパク合成を刺激するために必要なタンパク量が多くなる。
●高齢者のほとんどが朝食で十分なタンパク質を摂取できていない。
●高齢者のみならず、成人においてもタンパク質摂取量(特に朝食)は見直す必要がある。

 

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