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高齢者のタンパク制限の問題(1)

予防医学の現場で生活指導をする上で、とても悩ましい問題があります。『高齢者のフレイル対策に高タンパク食は奨励すべきか否か』という問題です。専門書を紐解いても、あるいは学会のこの手のセッションを聞いても、とても曖昧で実際に現場ではどうしたらいいの?と困っているのです。だって、「炭水化物と脂肪分を減らしてタンパク中心に食べなさい。年を取れば取るほど筋肉を落とさないようにしっかり肉を食いなさい」と云われるけれど、腎機能に一番負荷をかけるのはタンパク質であり、慢性腎臓病対策ではタンパク制限が基本。そして、高齢者ほど腎機能は低下しているはずです。「タンパクを中心に食うけれど、でもタンパクは取り過ぎるな!」という理屈は、理屈としては分かるけれど、それでは実際にはどうしたらいいのか?

そんなとき、日本抗加齢医学会の学会誌(アンチエイジング医学2020.vol.16,No.2)の誌上ディベートでこの話題が出ていましたので、興味津々で読んでみました。

「高タンパク食は腎不全リスク」だからから摂らせるべきでない、という立場がメディカルライス協会理事長の渡邊昌先生であり、方や「高齢者のサルコペニア予防にはタンパク質摂取が必須であり、今の高齢者は摂取量が少なすぎる」と主張するのが立命館大学の藤田聡先生。さすがはディベート、最終的にどっちがいいのか優劣付け難しでした。でも、最初は「高齢者(特に腎機能が低下してきている場合)に”タンパク、タンパク”というのは危険だ」と思っていたわたしですが、「タンパク質をきちんと三食(特に朝食)摂らないと筋肉が分解されて減っていく」という藤田先生のデータに内心かなりショックを受けています。強い意志を持って『朝食を取らない主義』を貫いてきたわたしですが、年寄りになった今だからこそ、朝飯(特にタンパク質のおかず)たっぷり摂らないとまずいのかな?とココロが揺らいでいるところなのであります。

(つづく)

 

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