受診控え
今回CareNetに、東京慈恵会医科大の西村理明先生が代表世話人をしている「血糖トレンド委員会」の調査結果が報告されていましたが、本当に由々しき問題だと改めて痛感させられました。この報告によると、
●定期的な通院を必要とする生活習慣病患者の20.4%がコロナ感染予防を理由に通院を自粛。
●さらに、患者の44.9%は今後の通院もいまだに不安を抱いている。
●その一方で、外出自粛で58.6%の患者が体調管理への意識が向上した。
というのです。
もともと、高血圧や糖尿病は自覚症状も乏しく通院を中断する患者さんが多い病気です。今回のように外出自粛を促され「不要不急の病院受診は控えましょう」と云われたら、薬がなくなっても通院を控えてしまう。それに加えて「高血圧症や糖尿病患者さんほどコロナに罹ると重症化しやすい」というデータが発表されたものだから、尚のこと怖がって病院に通わなくなった人たち・・・本当は、治療中断による合併症=脳卒中や心筋梗塞が起きることの方がはるかに危険(コロナだらけで医療崩壊するとそんな急病を受けてくれる病院がなくなることも重大です)なのに。
今回の調査はインターネットによる意識調査なのだから、おそらく一番コロナを怖がっている高齢者はあまり入っていないことでしょう。絶対に薬を切らすことのできない甲状腺がん術後の人などと違い、高血圧や糖尿病はしばらく切れても体調に変化を来しにくいものです。「病院受診を自粛している分、自分の健康管理をより意識するようになった」というのは良いことではありますが、この中には本当は内服管理を中断してはいけないのに、コロナを理由に服用をやめて「その分食事や運動に留意するように努めた」と胸を張って主張する患者さんもいるだろう、と懸念するのです。
是非、通院を中断してしまっている方は、本格的な第二波が押し寄せる前の今のうちに早めに受診してください(東京はもうすでにちょっと危ないかも)。
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