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犯人捜し

想定できたことだとはいえ、急速に地方都市に広がってきたCOVID-19の第二波感染。わたしの居住する熊本市でも4連休の最後の頃から一気に慌ただしくなりました。故郷の大分でも3ヶ月以上ぶりに感染者が出た、と騒ぎになりました。

「今どき、福岡に行った時点でアウトだよ!」
「感染するってわかっているのに、わざわざどうしてこの時期に大阪に観光に行くの?」
「がんばって自粛生活を続けているのに、東京からやってきてウイルスまき散らしやがって!」
「感染経路不明とかウソだよ。絶対にこっそり街中のおねえちゃんの店でうつってきてるに決まってるんだよ」

東京などと違って、毎日数人レベルの感染者が出てくる地方都市では、一例一例こと細かに行動が公表されるがために、それを一字一句漏らさず読んでいる一般市民の怒りの矛先がすべて感染者の行動そのものに向かって爆発します。国が頑なに軌道修正することなくGOTOを推し進め、飲食店側の感染対策のみを徹底させようとする反動が出ていることは明白だと思うのですが・・・。

何日の何時にどこで誰と会って何をして、どうやって家に帰って翌日何時から何をして・・・濃厚接触者やたまたま近くに居た人が感染するかもしれないからこそ、罹患者は惜しげもなくすべてをさらけ出し、それが役所のホームページに掲載され・・・結果として、誹謗中傷のターゲットにされてしまう。自分が調子が悪いのに出て行ったというのなら制裁されるべきでしょうが、自覚症状もなければ発熱もしていない人間が各々にそれなりの事情があって行動した結果なのだから、たしかに油断してしまったのだろうけれど、ちょっとかわいそうな気はします。

さらに、翌日から判明してくる濃厚接触者のPCR陽性者たちのことを、「先日感染が見つかった●例めの人と一緒に会食をした人」とか「●例めの感染者が会食した飲食店の店員」とか「●例めの感染者が働く会社の同僚」とか、書かれ方がまるで『●例めの感染者』が周りにうつしまくった悪の根源!みたいな感じに受け取られそうで、若干悪意を感じます。そうじゃない。たまたま最初に検査を受けて陽性が分かったのが『●例めの感染者』なだけであって、逆にこの人がだれかにうつされた被害者である可能性が少なくないのです。どうか、報道する側(特に活字にする方)は、一字一句の使い方にも細心の注意を払って書いていただきたいと切に願います。

犯人捜しや誹謗中傷なんて何の得にもなりやしない。わたしたちは、とにかく国の思惑に惑わされることなく、各自で標準予防策を守りながら、一致団結してじっと嵐の過ぎ去るのを待つことにしましょうや。

 

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