最近気になっていること~コレステロール
先日ここで紹介したように、LDL(悪玉)コレステロールは可能な限り下げるのが脳心血管障害(心筋梗塞や脳卒中)予防のために必要だと考えられてきたのに、薬剤で積極的に低下させてもさせなくても予防効果に有意な差は認められなかったという報告が発表されて、再びカオス状態になりそうな気配があります。一度心筋梗塞や脳梗塞を起こしたことのある方が再発するのを予防する(二次予防)のには効果がある、というのは間違いないのでしょうが・・・。
そのときにちょっとだけ書きましたが、たとえば閉経後の女性はおしなべてコレステロール値は上昇します。女性ホルモンを作らなくなった影響だと云われていますから、別に食べ物の影響でもなく、不節制しなくても上がります。LDLコレステロールは若い人でも男女を問わず高い体質の人がいて、運動と食事を頑張って体重を10キロ減らしたとしてもLDLコレステロール値はほとんど変わらない人がたくさんいます。そもそも、こういう人たちはLDLコレステロールが動脈硬化発症の引き金にはなっていないのではないか?と思うのです。LDLコレステロールが増加したために動脈硬化を起こす人は確かにいてそういう人は積極的に薬剤治療を受けるべきですが、それらを全部まとめて平均点で評価しようとするから統計学的有意差が生じないのではないか、と思うのです。
ヒトのカラダは生きて行く上で不利になる体質をいつまでも残しては行かないはずです。閉経後の女性のコレステロールが高くなるのも、本来そこまで長生きすることを想定しなかったからと仮想しても、進化とともに自然淘汰されていくはずで、それが不利なのであればそういう体質の人は死滅して淘汰されていって然るべしです。ということは、閉経後にはLDLコレステロールが多くなることが生きて行く上で有利なことが何かあるのではないか。生活が乱れていないのに高LDLコレステロール血症のヒトにとっては、それが生きて行く上で必要な体質なのではないか。そう考えれば、納得がいきます。だから、高LDLコレステロール血症で要治療と評価されたらとにかくとことん生活療法をやってみて(半端な形だけの取り組みはやったうちに入りません)、それでも大して減らない人は、ことコレステロールに関してはもうそのまま放ったらかしておいてもいいのではないか、と思うようになりました。
ま、下げるべき人と下げなくても大丈夫な人との明確な棲み分けができないからこそ、「全員下げるに越したことはない」ということになるのでしょうけれど。
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