境目
高血圧治療中のわたしは毎朝血圧を測ります(高い値が続いたのでさすがに怖くなって)。起きてすぐよりもちょっと朝のルーティン(洗濯物干しやゴミ出しや仏壇の水替えなど)を済ませてから測ります(その方が少し低くなるので)。「138/86、まあまあかな」と思う(本当は家庭血圧としては、しかも治療中の値としてはコントロール不良だけど)。一応2回目を測ってみると140/90・・・「見なかったことにしよう」と記録を削除(本当はダメですよ、3回測ってその平均値を記録するのが家庭血圧測定の決まりです)。高血圧症の基準(診察室血圧で140/90以上)の上か下かで一喜一憂するのが人の常ですが、本当は140と138にはほとんど差がありません。
「先生、わたしの平熱は36.1~36.2℃くらいなのですが、最近35.8~35.9℃になります。代謝が落ちているのでしょうか?」と質問した受診者がいましたが、「それ、36という数字に惑わされていますけど,ほとんど同じだと思いますよ」と答えました。数字って怖いですね。
洞性徐脈の定義は50bpm未満で、洞性頻脈の定義は100bpm以上。だから、50bpmも99bpmも正常だけど、49bpmや100bpmは異常・・・健診の結果表に赤印がつくだけで急にオロオロする方もいます。空腹時血糖が99は合格で100は不合格・・・メタボ健診の基準なので正常高値をひっかけますが、血糖102(ちょっと高め)だから生活習慣の努力を頑張ったら1週間後には98になった。「これはすごい!驚きました」と喜びの声・・・こんな健康番組がいまだにありますが、「98も102も一緒じゃん!」とテレビの前でツッコむ医療者たち。
でもこの基準があるのはやむを得ないのです。どこかに境目はいるのです。頑張るポイントです。99bpmも100bpmも「脈が速い」という点では同じだけど、注意を促す境目の上か下かは意識の対象としては重要。アディポネクチンはたしかに4.0を切ると一気に動脈硬化を進ませますし、GFR60未満は確かに腎臓の予備力を落としています。そのちょっと上がセーフなわけではないけれど、この境目から陥落したらマジでヤバいんだからねというレッドアラーム。まあ試験の点が60点か59点かでは人生を変えるほどの差が生まれますから、それほど明確な線引きでないところが弱いと云えば弱いのだけれど。
ちなみに、最近のわたしの家庭血圧は126/74とか118/66とか・・・生活は何も変わってないのに・・・返ってこっちの方が怖いわ。
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