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復職基準

先日、わたしが産業医をしているある企業で従業員が新型コロナ陽性になったとの連絡を受けました。まあ、対応は粛々と行われ、濃厚接触者の感染なし(検査陰性)の確認や関連部署の消毒など完了しておりました。

で、この患者さんの復職について相談を受けました。入院先の病院からはすでに退院しており、生活に関わる注意点は何もなかったそうで、いうならば「完全に無罪放免となった」とのこと。「え? 退院時点で検査陰性であることは確認しなくていいの(PCR検査は入院時点で行っただけ)? そのまま数週間自宅で自粛とかしなくていいの?」とか驚きましたが、退院時点での指示は「普通の生活をしても大丈夫」だったそうです。で、「職場はいつから復帰させたらいいのでしょうか?」との質問が来たわけです。

慌ててわたしが勤務する病院の職員用のマニュアル『CIVID19流行期における職員の検査と復職基準』というのを確認しました。『濃厚接触者』である場合として書かれていましたが、そこには「検査結果陽性で症状があった場合は『①発症日から10日間経過し、かつ症状軽快後72時間経過したら、復職可。②症状軽快後24時間経過した後、24時間以上間隔をあけて2回の遺伝子検査で陰性確認できたら復職可』と書かれていました。症状がなかった場合の陽性者は『①検体採取日から10日経過、あるいは②検体検査日から6日間経過後24時間以上間隔をあけて2回の遺伝子検査で陰性確認できたら復職可』だそうです。よほど初回検査が陰性だった場合の方がややこしい(検査から14日間自宅で自粛した挙げ句に場合によっては改めて遺伝子検査を受けなければならない場合もあるようで)。

何はともあれ、第1波の時はすべてが②のパターンだったからなかなか陰性化せずに退院できなかった患者さんがたくさん居た印象があるのに、今は症状さえ改善したら陰性化の確認検査なんて必要ないんですね。「10日以上経って症状が消えたらもう感染力はほとんどなくなっている」というエビデンスに従っているのだそうですが、ヘタすると感染者より感染者の濃厚接触者の陰性者の方が生活制限が長くなることもあるみたいで、どうも腑に落ちません。こうなると、今のうちに軽く感染しておいた方が何かと有利なんじゃないか?という考え方はあるかもしれません。

ま、インフルエンザの治療における自宅安静指示と同じような動きなのだから、これでいいのかも(いや、それが認められているのだから、これで正解なのでしょうけど)。

 

 

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