つながること
運動の他にコロナ禍で問題になることのもう一つは『人とのつながり』の消失です。むしろ、こちらの方が問題は深刻なのかもしれません。これまでに、わたしも連載する機関誌のコラムに話題にしたことがあります(『繋がっていること』『新しい生活様式』)が、そのことについて先日、日本健康文化振興会のオンライン講演で東京都健康長寿医療センター研究所の村山洋史先生が話された『人の「つながり」と健康格差』について、少し紹介します。
「日本人は今、『同居家族以外で頼れる人がいない』と答える人が多い」「最も社会的孤立者が多い国のひとつが日本」・・・そんなショッキングなデータから紹介されました(まあ、気付いてはいましたが)。そして、「社会とのつながりが多い人や社会とのつながりを介して支援を受ける量が多い人ほど健康長寿である」というのです。
4年半前の熊本地震の後、我が家の隣の貸家に転居してきた一人暮らしの義母は、知らない間に隣近所だけではなく名前も知らないお散歩仲間までたくさんできていて、私たち夫婦の知らないような近所のスキャンダルや家庭環境まで良く知っています。ワンの散歩をする度に長話して情報を得ているのだそうです。私たち夫婦は人見知りなので、ここに住んでもう25年になるのに、義母が越してくるまで話したこともなかった近所の人がたくさんいます。義母が85歳にして元気いっぱいで、私たち夫婦が徐々に老いていく感に苛まれている原因がよく分かった気がします。まあ、急に義母のような社交性は生まれるはずもありませんが、村山先生の話を聞き進めるに連れて何とも暗澹たる気持ちに落ちていく自分があります。
そして「コロナ禍におけるつながり」・・・友人知人と対面で会う機会が一気に減り、近所付き合いですら半年前より明らかに希薄になっています。これが健康に影響することは明白です。一方LINE通話の利用が一気に増加したそうですが、LINEやFacebook、Instagramなどを閲覧/投稿している人の方が精神的健康度が良好で、方やTwitterを利用する人の孤立感がより強いのだそうです。”相手が見えるSNSの方が精神的健康に有益”(Twitterは不特定多数を相手に勝手に呟くだけだから相手が見えない)・・・頷ける話です。
これから、おそらく社会とのつながり方は今までとは明らかに変わってくるでしょう。それでも、何らかの形でつながっておくことが大切です。最後に村山先生のスライドに書かれていた、”弱いつながりは、維持しようとしなければすぐになくなってしまう”ということばが、ことのほか重くわたしの心に響きました。
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