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結果説明のモットー(1)

勤務している病院の某委員会から、結果説明に関するインタビューを受けることになり、前もっていくつか質問項目をもらいました。だから、この機会にちょっと自分で考えてみました。

テーマは『患者さんに納得していただくための説明』

そもそもわたしたちが毎日行っている人間ドックの結果説明は、病院の医療者が関わっている治療学とも診断学とも違うところに位置しています。『健診』といえば、イコール『病気の早期発見』とそれを『早期治療』に繋げる作業だと思っている人がまだ医療者の中にはたくさんいます。もちろんそれもありますが、今の主流はむしろ健康人生に対する行動変容への現状把握と云えます。「健診を受けるのは、自分に病気がないか見つけることだ」と思っている人もまだたくさんいますが、最近の健康ブームの影響で「今後健康な人生を送るために、自分は何をしたら良いか、このままでもいいのか、何か注意すべきことはないか」ということに対して何らかのアドバイスをしてもらうために人間ドックを受けている人が多くなってきました。『行動変容』というのは予防医学の中の源流であり、一番克服が難しい壁なのです。

医療者は人間ドックの結果表を眺めるときに、「どこかに悪いところがないか」という目だけで見る人が多い気がします。『批判するためにデータを見る』という感じです。だから、受診者さんのカンファレンスをしていても、「この人は特に問題なので、何もすることがありません」と云いきる保健師さんもおられます。でも、そうじゃない。去年までと比べて良くなったところがどこか、少しずつ悪化してきているところはどれか、それはそのままで良さそうか?今のうちに何かアドバイスしておいた方がいい項目か、もしそうなら何を勧めたら良いか? 努力して良くなったのなら、その努力はこのまま続けるだけでいいのか、この際何かを付け加えた方がいいことなのか・・・わたしたちのすべきことはたくさんあります。

かと云って、勘違いしてはならないのは、健診データを良くするために人生を送っているのではないということ。それだけは見失わないように注意しています。 (つづく)

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