アルコール性肝障害
人間ドックや健診で肝機能とか腹部超音波検査とかに対して『要精密検査』や『要治療』の評価を受ける人が昔からたくさんいます。まあ、多くの場合は脂肪肝とか、飲み食いのしすぎとか、ほぼ生活習慣の乱れの現れなのだと推測され、原因究明の検査や薬物治療を求めて紹介状を出すのではなく、生活の見直しをしながら定期チェックを受けるためのかかりつけ医を作るための紹介状であることがほとんどです。だから、どうせ紹介状を出しても「経過観察」の返事が返ってくるだけなのだからと、わたしは結果説明をする時点で判定を下げてあげることが多いです。
で、そういう紹介状を出すと決まって医療機関からの返事には『アルコール性脂肪肝』とか『アルコール性肝障害』とかいう診断が書かれています。「ちょっと飲酒習慣があるだけで、面倒くさいモノだから医者はすぐに”アルコール性”とか書くんだ・・・ほとんどは飲み過ぎというより食い過ぎが原因でしょ!」と悪態をつくわたし。「”アルコール性”と診断するのは、かなり長い間続く大量飲酒習慣(アル中)の人の話なんだよ!」と思いながら、この機会にちょっと調べていました。
”アルコール性肝障害(ALD)とは:長期(通常は 5 年以上)にわたる過剰の飲酒が原因と考えられる肝障害で、以下の①~③の条件を満たすものとします。
①過剰の飲酒とは、1 日平均純エタノール 60g 以上の飲酒(常習飲酒家)を云う。ただし、女性や ALDH2 欠損者では、1 日 40g 程度の飲酒でも、ALD を起こしうる。エタノール 60g とは:ビール[アルコール 5%]大ビン 2 本弱、日本酒 2 合、焼酎[アルコール 20 度]2 合弱、ワイン[720ml]1/2 本、ウィスキー(アルコール 40%)150ml に相当します。
②禁酒により、血清 AST(GOT)、ALT(GPT)およびγ-GTP 値が明らかに改善する。
③肝炎ウィルス(B,C 型)マーカー、自己免疫性肝炎の抗体(抗ミトコンドリア抗体、抗核抗体)がいずれも陰性である。”
ほーらみろ、こんなに飲まなきゃ認めてもらえないんだから・・・。ん? ビール(大)2本弱・・・これは1200mlくらい? そんなに毎日飲めんわ。と思ったけれど、日本酒や焼酎は2合程度? こっちは意外に飲むかもしれない。しかも晩酌と云ったら普通、「さしより(「とりあえず」の意味の熊本弁)ビール、その次に焼酎お湯割り」とかいうパターンが多いじゃない? ということは意外に基準は低いんじゃないのかしら。こりゃ、わたしもちょっと検査値が悪かったらヘタすると「アルコール性肝障害です」とか診断されるかもしれないということじゃないですか。くわばらくわばら。
もっとも、②の条件があります。まずは禁酒してみないといけません(ちょっとだけ減らすのではダメ)。禁酒したら正常値に戻って、もう一度飲んでみたらまた上昇するなら『アルコール性肝障害』という診断になるのですから、ここまできちんと検査・指導してもらいたいものです。γーGTP高値の方にはいつも説明していますが、「この場合、『診断がつく』というより『あなたにはお酒の処理応力がありません』と自分のカラダから引導を渡されたようなモノ」ですから、観念せねばなりますまい。
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