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「検診医しかできない医師」だと?

医師用の配信記事の題名に『一生検診しか勤務できない医者増殖中』を見つけて、カチンときました。頭にきてサラッと読んでみたら、「専門医資格を持っていないので・・・」とか「前職が検診だと訪問診療にも転職できない」とかそんな内容。

「健診なんて(そもそも「検診」と「健診」の違いすら知らない医者に何がわかる?と思いますけど)誰でもできる」と思っている臨床医がいまだに多すぎるし、わたしが健診部門に希望して移動したときには、「先生、今まで忙しすぎましたもんね。少し息抜きするのも大切ですよ」と事務スタッフから云われたこともあります。

わたしが臨床医に見切りをつけて予防医療の世界に移った理由は以前何度かここにも書きました。健診専門医になった頃(正式に専門医資格と指導医資格を取得したのは遙かあとですが)には明らかに格下に見ている連中に「何にも知らないくせにバカにしやがって!」と反発したものです。でも、病院の幹部クラスの部長医師が結果説明の手助けに来てくれる様になった時期に、ものすごく受診者に不評で「何も説明してくれなかった」「ほとんど問題ありません」とか云って何も具体的なアドバイスもしてくれなかったとか大多数がアンケートに書くものだから、数ヶ月で部長医師の手助けシステムが中止になったときに、「それみたことか」とほくそ笑んだことを覚えています。

健診の医師の最大の仕事は健診結果の意味を説明することなんかじゃない。異常者を病院に受診させることでもない。その結果を元にその人の人生に対して何をしたら病気にならずに楽しい健康的な生活を送れるかのアドバイスをすることなんです。言葉は悪いけど、そこいらの単なる優秀な修繕屋には絶対にできない仕事なんです。まともな健診をこなせる医者なんてそんなにいません。昔の「でもしか先生」みたいな云い方、しないでもらいたいものだわ。

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