見た目のアンチエイジング
先日、地元のフリーペーパーの記者さんから動脈硬化についての取材を受けました。
動脈硬化というのは、動脈壁の一番表面を覆っている内皮細胞に傷がつき、そこから変性した悪玉コレステロールが内側に入り込むことから始まって、まるで腐蝕した水道管の表面みたいになる現象で、心筋梗塞や動脈瘤などの命に関わる病気に進展する引き金になります。
そんな動脈硬化は、実は子どもの頃から始まっています。以前、「不慮の事故で亡くなった小学生の司法解剖をしたらすでに動脈に変化が見られていて愕然とした」という病理学の医師の話を聞いたことがあります。少なくとも、現代社会では20代には確実に動脈は老化し始めています。にもかかわらず怖い物知らずの若者たちは紙巻きタバコや電子タバコを我が物顔で吸い、大酒飲んで暴飲暴食し、不夜城のごとくに明け方まで起きて騒いでいます(コロナ禍で自粛が叫ばれても動じない世代)。そして、40歳近くなって健診か何かで動脈硬化の文字を発見して愕然とし、50歳くらいになって慌て始める。でも、もう元には戻らない。わたし自身、自分の大動脈と冠状動脈に動脈硬化の石灰化がしっかり認められているのを見つけてショックを受けて、その数年前まで喫煙をしていたせいだということを反省して、中途半端に高いまま放置していた血圧も悪化の誘因になるのだと気付いてしっかり内服治療を始めたけれど、もはや時遅しでした。
そして、同じことがお肌でも云えます。若いときには怖い物なしで直射日光を浴び、遅くまで飲み食いしているかと思えば、急なダイエットで必要な栄養素を排除してスカスカ・カサカサの皮膚細胞になっても気にしなかったけれど、30代、40代と年が上がっていくと出てきたシミやシワにやっと気づき、こりゃいけないとばかりに突然のスキンケア、でももう老化してしまったモノは戻らない。動脈硬化と皮膚の老化は似たようなモノですから、云い換えれば、若いウチから見た目のアンチエイジングに留意しておけばそのまま動脈硬化の予防にもなるということを、若者たちに是非知っておいてもらいたいと思っておる次第です。
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