腎臓機能と水分摂取
eGFRが導入されて以来、腎機能低下に対する一般市民の意識は高くなってきました。これまで腎臓はかなり悪くなるまで放ったらかしていることが多かったからこの風潮は喜ばしいことですし、そもそもそれが目的だったのでそれでいいのですが、CKD(慢性腎臓病)中等度というレベルはあくまでも食事や生活面での注意を促すレベルの状態ですから、一番重要な位置に居るのが栄養士さんや保健師さんだといえます。
先日、わたしが担当している受診者さんで徐々に腎機能が低下していた方が今年さらに低下していたので、外来受診を勧めました。透析の要否を相談したかったわけではありません。今の状態での日常生活や食生活への具体的なアドバイスがほしかったからです。でも、結局外来では、「あまり問題はない(たぶん腎臓自体の病気がなく透析もまだ必要ないということを云ったのだと思われる)から今後も健診で経過を見てください」と云われたそうです。後は、「塩分制限ことを強く指示された」とも。
栄養士さんも保健師さんも、腎臓と云えば必ず「塩分制限」を強調します。でも、意外に水分摂取のことには深入りしません。eGFRにすぐに影響を与えるのは脱水だということは医療従事者なら誰でも知っていることだと思うのですが・・・。腎臓はフィルター構造ですから、しっかり濾過できるだけの十分な水に浸されないと網目が詰まって機能が低下します。夏場に水分を摂らずに急性腎不全を起こす高齢者は思いのほか多いのです。
くだんの受診者さんも、どうも「腎臓が悪い人は水分を取り過ぎてはいけない」と思い込んでいる節があります。人工透析をしていた亡き旦那さんがそうだったからのようです。今の状態はむしろ水分を意図的に摂るべき時期だと思うけれど、具体的にどの程度の水分摂取が妥当なのかを専門家から指示してもらいたくて紹介したのですが、その意図が汲み取られることはありませんでした。残念です。
「栄養士さんは、食べ物の内容や摂り方についてはものすごく詳しく指導してくれるけど、水分のことはほとんど触れないもんね」・・・むかし看護師をしていた妻がボソッと呟きました。栄養素の概念の中に「水分」ってないのかしら。料理作るときには「水少々」とか「カップ一杯分」とか云うじゃないですか。「おいしくできるかどうかは水分量が決め手です」って。
| 固定リンク
「心と体」カテゴリの記事
- 『ステージA(後)』(2025.04.17)
- 週30分?(2025.02.14)
- 大腸内視鏡検査無償化(2025.02.11)
- 認知症対策にカフェイン?(2025.02.07)
- コーヒーは朝飲むべし?(2025.01.31)
コメント