卒煙
人間ドックの胸部レントゲン写真の読影をしながら、問診を読むと『禁煙』の文字が目に付きます。『禁煙の意志なし』とか『禁煙したが再喫煙』とか・・・なんか知らんが急に『禁煙』の単語が気になってしょうがなくなりました。
わたしがタバコを止めたのは10年前くらいらしい。”らしい”というのは、止める日のXデーがあったわけではないから記憶が曖昧(覚えていてもしょうがないことですし)で、職員健診のときの過去の問診記録にそう書かれていたからです(もっとも、その数字も本当は余り当てになりませんが)。そんなことはどうでもいいとして、健康志向など微塵もなく止める気などさらさらなかった私が喫煙を止めたのは、カラダが受け付けなくなったから(吸った翌朝にものすごく胃の調子が悪くなってムカムカするし、吸ってもちっとも味がしなくなったから)です。何を云いたいのかというと、わたしのタバコは『禁煙』なのか『卒煙』なのかと云えば、たぶん『卒煙』なのではないかということです。臨床現場では同じことだという空気ですが、当事者にとっては全然違うことだと云う気がします。
「『卒煙』はポジティブにタバコをやめるため、今までの喫煙経験をやみくもに否定しない、という意味が含まれているそうです」と、どこぞのドクターのエッセーに書かれていましたが、たしかに、『禁』は『禁止』の禁ですから、どうしても強制的に止めさせられた感がありますが、『卒』は『卒業』の卒ですから、能動的におさらばした感じがします。止めたくはないけど周りが止めろと云うし、健康に悪いと白い眼で見られるからしょうがなく止める感じの『禁煙』は、だから、昔愛し合った愛人のことが忘れられずにふとしたことで再会したらまた離れられなくなる印象が払拭できないのかもしれません。
この際、正式な医学用語を『禁煙』から『卒煙』に全面的に改定したらいいのに、とか思っている次第です。
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