かかりつけ医の苦悩
新型コロナワクチン接種の予約段階で、日本中が混乱しています。わが家でも、87歳になる義母の予約を取るのに大騒動でした。Web予約を強く押し進めていたくせに、開けてみたら「かかりつけ医に直接電話連絡して予約してくれ」というメッセージ。そんなパターンがあるとは事前説明もなく、とにかくWebでという報道にマジメに従っていたために出遅れて、結局第一陣の予約は取れませんでした。
次の予約は次週月曜の朝だから、しばらく妻は有名アーチストのコンサートチケット予約をするかのように電話をかけ続けることになるのでしょう。それにしても、高齢者の予約でこれだけ右往左往しているのだからこれが若い人たちの番になったらほとんどパンク状態になるのは必至。先が思いやられます。
そんな中、できるだけ自分が受け持っているかかりつけの患者さんに便宜を図ってあげようと、開業医の皆さんは本当に苦慮しておられます。義母の通うクリニックでは「電話予約以外は一切受け付けません」ときっぱり意思表示していますが、早朝から並んで予約の順番取りしようと並ぶ皆さんのために、『予約のための予約』名簿を書かせるクリニックもあります。そうやって便宜を図ってあげたらあげたで、今度は前夜から並ぶとか、「電話だけ」と云っているのに無視して駆けつけて何とかゴリ押しさせようとするとか、「後れを取ってなるものか」とばかりにデマに振り回されております。そして、そんな騒動をテレビで流すものだから、全然関係ない地域の高齢者の皆さんまでもがさらに不安に駆られてかかりつけ医に問い合わせ電話をして日常診療を妨げることになる。
患者さんのために良かれと思って骨を折っている先生方に丸投げな行政には呆れるしか有りませんが、そもそもこんな国を挙げての施策なんて選挙以外では経験したこともないのですから、まともにできるはずもありません。最初の実験台になった医療関係者はまだ良いとして、次の実験台である高齢者はそれでなくても情報網がテレビか小さなコミュニティしかないので大変でしょう。しかも、後れを取れば取るほど仲間はずれにされそうで不安でたまらないはずです。そんなコミュニティにも参加してない独居の高齢者なんて一層遁世的になっていきそうな懸念もあります。「もう全部ネット予約しかさせません」と大都市圏の集団接種会場予約システムが開き直ってましたが、もうこの報道だけで、ネットなんて触ったこともない自分たちは捨てられるのか!と怒り心頭になる皆さんの姿が想像できます。
昨年のマスク不足の時に薬局に早朝から並んだ人たちは多くが高齢者の方々です。今回は、かかりつけの先生方が何とかしてあげようと(自分もまだ接種を受けていないのに)奮闘されておられますので、少なくともマスコミがこれ以上煽ることは自粛いただけないものでしょうか。
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