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親の心・・・(2)

(つづき)

東京の若者への妻の不満爆発のことを書きながら、実はそんなデリケートな内容を今ここに書きたかったわけではありません。

わたしたちが従事している人間ドックや健診は、検査することが目的なのではなく、その結果として異常だった項目に対してきちんと管理をすることが目的です。軽度の異常に対しては健康相談や指導をしますし、明らかな異常に対しては確実に医療機関受診への橋渡しできるようにフォローします。そんな中で、肝機能や血圧や血糖などの結果が極端に異常であったり急に悪化していたりしていた場合に至急で医療機関を受診するように特別に働きかけるようにしています。その日に説明をしたりあるいは電話連絡をして受診勧奨したり・・・ところがどんなことをしても絶対に受診しない人たちがいます。毎年同じ項目で指摘され徐々に悪化している人たちでも、きっと毎年発行されている紹介状を束でコレクションしているのでしょう(いや、たぶんそのまま捨てるのでしょうか)。毎年、担当の保健師さんが何度も連絡をし、フォローの手紙を書き続けているけれど無視している連中。「それなら健診を受けなければ良いのに」と思うけれど、それが労働者として雇用されている限りは受けなければならない義務だから受けているだけ。

そんな彼らは(若い人が多いですが)、決まって「自覚症状がないから」「面倒だから」「受診しても運動と食事の指示だけだから」「行ったら薬を出されて金と時間が勿体ないから」と云い訳します。「若いうちからこんな異常があると取り返しのつかないことになるので、今のうちにちゃんと治療しないと危険です」と保健師さんが親心を出して説得するのに、「オレの勝手だろ」と嘯く彼ら。そんなやり取りが、どこか東京の夜の街を徘徊する若者たちと重なってしまうわけです。大きな病気を患って初めて『あのときにちゃんと治療しておけば良かった』と後悔する事例を引き合いにして説得する彼女たちの熱意が、コロナに罹って後遺症で悩む若者たちがいかに多いかを切々と語る内科医のコトバと重なります。

それでも、その熱意はきっと彼らには届きますまい。それが自分中心の怖いもの知らずの若者の特徴というか特権(と思い込んでいる)なのかもしれません、残念だけど・・・。だからわたしはそんな彼らにはとても冷たい。「好きにしたらいいんじゃないの? もちろん悪くなっても手は貸しませんけど」的な・・・熱意だらけの保健師さんやお医者さんをありがたいと感じる瞬間が、彼らに早く起きるといいですけれど。

 

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