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運動のイメージ

わたしの担当する人間ドックの受診者さんに最近肝機能が悪化した男性がいます。糖代謝異常や脂質異常がベースにあり毎日忙しくて運動どころか睡眠時間も削って生活している人です。

「わたしが皮膚科で通っている大学病院の検査でも最近はそれくらいの値です。たぶん脂肪肝のためだと思うので運動した方が良いのかなと思うのだけど、その皮膚科の先生は『肝臓が悪いのだからあまり激しい運動はしない方がいい』と云うんですよ。でも、生活習慣病の治療をしてくれている地元のかかりつけ医は『そんなヤツの云うことなんか無視していいから、しっかり運動してください。そうしないと脂肪肝がどんどん悪化しますよ』と脅すんです」

彼は、ちょっと困惑した顔をしてそうグチを云いました。わたしも「運動した方がいいに決まっとるやろ!」と思いますし、「夏前に、毎日散歩して、炭水化物カットを頑張ったら体重も減ったし検査データも良くなってどっちの先生にも褒められました(今はまたリバウンドしてしまったけど)」と云うくらいなんだから、答は明白。皮膚科の先生は自己免疫性肝障害などの可能性もあるのではないかと考えているのだろうとは思いますが・・・。

ただ、そんな彼の話を聞きながら、『運動のしすぎ』というときの運動の量や質が、おそらく各々のアタマの中で全然違うのではないかと感じました。『運動しましょう』とか『運動は控えましょう』とか云われたときの『運動』がどの程度のことを云っているのか、自分の感覚で勝手に想像している感じがするのです。アスリートの考える『運動』と老健施設のスタッフが考える『運動』は全く違うのですが、『運動』と云えば長距離ジョギングをしたりスポーツジムで筋トレしたり、あるいはスポーツをしたりすることだと思っている人は多く、だから「わたしは運動は苦手だ・・・」と答えるわけですが、有酸素運動を普通にする分では何の問題もないはずなのです。生活習慣病を治療する医者はイメージとして『運動』=有酸素運動と思っているけれど、若い先生方はもっと激しいモノを想定しているのではないでしょうか。リハビリテーションなどに従事していない医者(特に若い医者)は、想像だったりテキストに書かれている知識だったりだけしか知らないので、実際に『運動』を具体的にアドバイスできない人が多く、だから”メッツ”とか”少し息が上がる程度”などの基準ができたのですが・・・実感として理解している人はどれほどいるのでしょうか。

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