萎むという現実
「先生、ちゃんと絞って体型を維持していますね。いつもしっかり運動していますものね」
職場の若いスタッフにそう云われるのはうれしいけれど、本当は”絞っている”のではなくて”萎んでいる”ということを本人はちゃんとわかっています。それを一番痛感するのは、お風呂に入る前にハダカになって洗面所の鏡の前に立つとき(鏡を前にすると必ずちょっと腕を曲げて力こぶを作ってみたり、横向いてお腹を引っ込めてみたりするのは、オトコのサガかしら)と散髪屋さんに行って正面の鏡に映る自分の顔を眺めるとき(散髪のときほど長時間自分の顔をマジマジと眺めるときはない。基本的にこの時間だけは正面の鏡の前の自分とずっと目が合っている)です。先日、散髪屋に行ったときに自分の顔を見て「じいさんになったなぁ」と痛感したわけです。特にふっくら二重顎でもなく、ゴルフ焼けして若干色黒になった自分は、若いころに超肥満児だった面影はほとんどありません。
「毎日しっかりと運動して暴飲暴食せず夜更かししない生活をしていたら大丈夫!」というのは若い人たちのはなしであって、歳を取るとそれだけではフレイルやサルコペニアに陥る危険性が決して少なくありません。筋肉については以前、ここに書いた時間栄養学やスポーツ栄養学の項目を思い出してみましょう。
立命館大学の藤田先生の講義内容から抜粋すれば、
・高齢者は一度に充分量のタンパク質を取り続けないとサルコペニアになっていく
・三食不均等にタンパク質を摂取するとフレイルになりやすい(特に朝は不足)
とういことであり、また、早稲田大学の高橋先生の講義内容を振り返ると、
・運動(身体活動)は体内時計を調節する。骨格筋萎縮のリハビリ効果は朝の方が著明であり、脂肪分解効果は朝より夕方の方が有効
・筋肥大をもたらす筋トレ効果は夕方の方が有効
とあります。そもそも、絶食下で運動すると脂肪分解は誘発するものの活動時に絶食すると筋萎縮を誘導するということや運動のしすぎは返って逆効果だということも、高齢になればなるほど意味が大きいのであります。
わたしのように、朝にまともにタンパク質も糖質も摂らない生活様式であるにもかかわらず、超多動児の日常を送る人間は、筋肉が萎縮するのも理解はできます。活動エネルギーの源が得られないから自分の筋肉からエネルギーをえぐり取りながら運動しているようなものだから。ん~、とはいえ、今の生活様式を変える気はまだ湧いてこない状況ではありますから、じいさん筋肉になっていくのもやむを得ないのでしょうか。
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