DAZNの功罪
先日、テレビのバラエティー番組で、「最近、スポーツ番組観ますか?」という問いに「オリンピックは観たけど、それ以外はほとんど観ない」と答えた老若男女のタレントさんたち。たしか、サッカー日本代表のアジア二次予選の翌日かなんかだったと思います。「なぜ?」という問いに、「だってほとんど地上波で放送してくれなくなったから」と。
考えてみるとたしかにそうです。たまに日本で開催されるときには地上波放送あることありますが、最近は放映権を有料配信サイトが独占していて、それと契約していないと観れないことが多い。昔はCSやWowowくらいでしたが、今の状況になった原因の代表がDAZN(ダゾーン)でしょうか。たしかにDAZNは多くのスポーツ番組をつぶさに放映してくれます。わたしが応援しているサッカーJリーグは普通なら放送しないJ3の全試合まできちんとLIVE放送してくれます。プロ野球もバスケットボールもバレーボールも外国のプロスポーツもモータースポーツまで幅広く、しかもご丁寧に見逃し配信まで。いたれりつくせりです。その代わり、年間購読契約をしないと観れません。そして、DAZNが独占契約をする分、地上波やBS放送の放映権はなかなか得られず(たぶん放映権もかなり高価で)、別にスポーツにそれほど深い思い入れがない一般庶民はわざわざ観なくてもいいかな、ということになって当然な気がします。
スポーツを幅広く普及させるためには、観たかったわけじゃないけど何となくテレビを付けたらスポーツやってた・・・「他にすることないから観ようかな」から引き入れてくることはとても大切だと思うのです。先日の東京オリンピックの地上波放送で今まで一度も観たことのないスポーツをLIVEで観る機会を得て、それでスポーツの面白さなり魅力なりが初めて分ったことを多くの人が経験したことでしょう。それが大切なのだと思うのですが、今のプロスポーツはそのチャンスが奪われています。
また、顔も知らない多くの老若男女がテレビという媒体を通して一体になって同じものを応援している空気感、その『一体感』が感じられなくなったのが寂しい、と番組でも嘆いていました。たしかにDAZNは、WiFi環境が途切れてちょっと放送が切れたら、その途切れた時点から再開してくれます。そのためにLIVE配信を謳いリアルタイムの放送見ているようで、世間と若干ずれて観戦してしまうことがよくあります。「しまった、見逃した」というのはない代わりに、ずっと若干遅れのまま見続けるのでSNSでの世間の人たちの反応とずっと遅れてしまうのは、独り蚊帳の外みたいな寂しさがあります。
世の中のエンターテイメントの多くがその在り方を変えようとしている昨今、メリットもデメリットも感じつつ、自分の興味があるものの情報だけを選択的に取り入れればそれでいい、というご時世になんか一抹の寂しさを感じるのは、わたしが昭和の人間だからでしょうか。
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