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2022年1月

インパクト映像

2年続いて世界中がCOVID-19感染症で右往左往している状態だというのに、戦争したがってぐずっている国があるなんて・・・ちょっと嘆かわしい。人類共通の敵に向かっての戦いが長過ぎると国民がストレスで疲弊してくるから、ストレスの矛先を身近なモノに向けようとしているのでしょうか。自称”大国”同志のむき出しのエゴの擦りつけ合いを傍から見ていると滑稽(大国ではない日本の隣国の自慰もどきはどうでもいいとして)なのだけれど、これで戦争が始まると迷惑なはなしではあります。

ところで、最近のニュースはちょっとグロい映像が多すぎる気がします。火山の大噴火や山火事やで逃げ惑う人たちとか、尋常ではない雪の中、交通が麻痺して雪に埋もれながら歩いて廻る人の姿や大雨で洪水を起こしている街や・・・現状を動画で見せるのは実体を知らせるためには重要なことだとは思いますが、そんなことは大義名分で、実はインパクトのある映像を覗き見ることで「かわいそうに」「大変だ」と視聴者の刺激に対する欲求を満たそうとしているだけのような気がします。本当はその地域のごく一部の惨劇なのに、あたかもそれが広範囲に広がる天変地異であるかのような映像刺激・・・野次馬感情を満たしているようで、実は心を大きく沈み込ませて世界の終わりの様な絶望感を無意味に惹起しているかもしれない、とは思わないのだろうか。

ま、見なきゃ良いんでしょうけど、テレビ離れしている最近の若い子みたいに。

 

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黙食

「昼食は黙食を厳守してもらっていますが、まだ一部でおしゃべりをしている人を見かけます。食事中は完全黙食で、会話は食事が終わってからきちんとマスクをして行ってください。ただし、周りに食事をしている人がいたらマスクをしていてもその場での会話は厳禁です」

どこかの飲食店で考え出されて世間で当たり前に使われるようになった『黙食』というコトバですが、COVID-19感染急増の中、わたしの働く職場ではもう1年以上『黙食』が常識になり、食事中の歓談など遠いむかしの幻想のように風化しています。

COVID-19感染者の濃厚接触者が急増していて社会問題になっていますが、そもそも『濃厚接触者』の定義は「マスクをせずに15分以上の間当該者と近い距離内にいた人」なのですから、家族や恋人同士や部活中を除けば濃厚接触者に該当する機会なんて普通に完全予防策をしていれば(=きちんとマスクをしていれば)ほぼありえません。ただ、無防備なのが食事中・・・食べる度にマスクを付けはめするのは大変だから独りで他者と距離を保ちながら全員が一方方向を向いて黙々と食事する、という風景が定着しています。いうなれば、恒久的な恵方巻きの食い方かしら(一息で食うわけじゃないならちょっと違うか)。

こういうとき、分かっていても周りと会話せずにはおれないのはどこでもだいたい中高年層の女性だという印象です。若い子は子どもの頃から孤食に慣れ、食事中はスマホを弄りながら黙々と食事するスタイルにさほど抵抗はないと思われます。むしろ、昼休みに先輩や同僚に誘われて渋々一緒にランチに行き、話したくもないのに会話しなければならない慣習がなくなって、嬉しく思っている人の方が多いかもしれません。でも、おばちゃん達は、食事中の会話こそがストレス発散の場で、そこで話そうと思って胸の内にストックしていたネタは数知れずでしょうから、「同僚や友だちと話ができないとストレスが溜まるばかりだわ!」とぼやいているに違いありません。

皆さん、もうちょっとだけ、がんばりましょう。

 

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「健康である」とは

『人を救うには、まず自分が健康でなければならない。』

職場の医局の前の掲示板に長いこと貼ってあるこのポスターは日本救急医学会からの叫び。最後に『これは義務だ』とまで書いています。

これを毎日眺めながら、ずっと「そうだな」と納得して通り過ぎていたのですが、最近つい立ち止まって、「健康て何なんだろう?」と考えるようになりました。

ここのところ体力が落ちた気がする、カラダがちょっと鈍ってきたのかな?お腹も出てきた感じがするし、階段を4階まで一気に上ったら息切れするようになったけれどこれはヤバいのではないのか? そんなことを考えながら毎日がんばって運動をしているわけですが、これ以上は返ってムリすることになるな、とも思う歳になってきました。「健康である」という日本救急医学会の論点は、「現場で判断を誤るとスタッフが迷う、家族が心配する、自分を責める、救急医になるのならまず自分のことを最優先に考えるべきである、高齢化は進む、医師は足りない、だからこそ救急医は健康であることが義務である」ということから来ています。と云うことは、20年近く前に救急医をやめたわたしには関係しない理論なのかもしれません。

でも、この機会に『健康』を考えてみました。「若さを保つ」とか「健康である」とかいう用語を発する場合、それは常に”若い人たち”が基準になっています。でも、わたしたちのような”高齢者”ほど健康への意識が強いものです。だから、テレビの健康番組を見ることを日課にしてテレビで云うことを実践しようとするのは概ねわたしたちの世代です。なのにテレビで云っている内容は概ね若い人たち用。「それをきちんとしないと効果がない」とか云われてがんばりすぎる。それがちょっと気になってきています。たとえばスクワット。健康を維持して若さを保つために効果が高い”スクワット”は最近ブームです。でも、わたしたちの歳になってこれをきちんとやると高い確率で膝を傷めます。人間ドックをやっていると受診者の中にテレビのスクワット指導を実践して関節に水を溜た人もいれば痛くて歩けなくなった人もいました。健康を保つためにがんばっているのに結局歩けなくなる。やり方が間違っているわけでもないのに・・・。若者がやる”健康運動”とわたしたちの世代でやる”健康運動”は自ずと強度も内容も違うはず。「いえいえ、わたしはまだそんな歳じゃないから」といつまでも意地を張らない方がいい。そんなことを最近自分は思うようになりました。これ、ものすごく大事。やりすぎてカラダを壊したら、それは”健康”とはいえませんから。

 

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しつこいわ

最近、テレビでビール類のCMが異常に多すぎる気がします。それを見ながら、

「ビールって、そんなにおいしいものだったかなあ」とつぶやいてしまった。

「じゃ、1回やめてみたら?」とすかさず妻に云われました。

「うんそうね」と聞き流しながら、「一旦やめてからまた飲み始めたら、もっとおいしいのかな?」と云ったら、

「そうらしいよ。だからとりあえず1回やめてみたら?」と妻。

しつこいわ。

 

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尿路結石症の予防

昨年末に体外衝撃波結石破砕術(ESWL)を受けて、無事にほとんどの石が排石できたことを確認しましたが、外来の最終受診の日、妻から「あなたの結石はもう何十年もつきあっているんだから、どうやったら起きなくなるのかちゃんと専門家の先生に聞いてきなさいよ」と釘を刺されていたので、ちゃんと聞きました。そしたら、先生が患者さん用のリーフレットをくれました。ちなみに、私の石は多数派であるシュウ酸カルシウム結石です。

結石を予防する食事とは?
●シュウ酸を増やす肉類などの動物性タンパク質を控えて野菜類を多くした和食中心のメニューにする→おかげさまで、私の口は若いときから和食好きです。生活習慣病の管理をし始めてからはさらに徹底できてると思います。
●カルシウム不足はシュウ酸の腸管からの吸収と尿中への排泄量を増やすので、カルシウム制限はよくない→すぐキレる性格だったので、カルシウムは意図的に摂るようにしてきました。それでいいのよね。
●カルシウム必要摂取量600~800mg/日は200ml牛乳パック3個分→意図的に牛乳を飲まないようにしているわたしは、これでは参考にならない。
●シュウ酸制限が必要(ホウレン草、タケノコ、大根、チョコレート、コーヒー、紅茶)で、これらを食べるときにはカルシウムを含む食品(かつお節、ちりめんじゃこ、牛乳など)を同時に摂ることが重要→これを読んで突然妻が「コーヒーは結石に悪いから飲むの禁止ね」と言い始めたので「違うでしょ、同時にカルシウムを摂れば良いんだってよ」と反論。「違うよ、そもそも摂らない方がいい食材は摂らないのが先決じゃない! 医者のくせに本末転倒よ!」と引かない。ま、わたし、日頃からコーヒーなんてほとんど飲みませんけど。
●動物性タンパクは尿酸結石を作り、ビールも尿中の尿酸濃度を上げる→わたしのは尿酸結石じゃないもん。
●結石形成を抑制する食材:野菜・穀物・海藻(尿中クエン酸、マグネシウムを増やす)、青魚(尿中カルシウム排泄を抑制する)→わたしの好きな物ばかり。
●水分摂取がキホン中のキホン
●就寝中に結石ができやすいから夕食は軽めに、夜遅くの摂食は避ける。

書き写しながら、ちょっと悲しくなりました。「書かれている注意事項、ほとんど実行できているやん。どういうこっちゃ! 参考にならんじゃない!」とぼやいてみた。
 

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握力

毎度のことながら、散髪屋さんに行って椅子に座って目の前の鏡を見ると、そのたびにため息が出ます。首筋のシワとシミがまさしく私のイメージする年寄りのそれで、それが日に日に酷くなってくるのです。顎を挙げてみたりホッペを膨らましてみたり、鏡の前で勝手にいろいろしてみるけれどほとんど変化がなく、目の前の鏡に映る私は自分で思っているよりもはるかに爺であることを認識するのです。くやしいから首のシワを取るマッサージや化粧品を使ってみようかしらと思うのだけれど、さすがに恥ずかしくて妻に云う勇気がなくて、そのままになっています。

最近になってさらにショックなのは、ペットボトルのフタが簡単に開けられなくなったこと。特に350mlや500mlの小さなペットほど開けられない。嫌がらせしているのではないかと思うほどに固い。以前から妻が「フタが開けられない」と騒ぐので「何云ってるの、貸してごらん」と取り上げて軽く捻ってあげる。「すごいね」「こんなの普通やん」という会話がうちの夫婦の間では当たり前の光景だったのに、自分ですら「うっ!」と云って開けられないのです。何とか気合いを入れて滑らないようにタオルなどを使ったら開けられるけれど、なんか前途多難な感じがします。ペットボトルのフタ開けテストは高齢者のフレイルや骨折しやすさのチェックに使われるヤツです。握力の低下が原因なわけで、開けること自体はフタ開け器を買えば良いことだけれど、それが必要だと云われること自体が超ショックなわけです。

老化に伴う握力ってどうやって付けたらいいのかしら

 

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一旦植え付けられた知識は修正しにくいもの

バターよりマーガリンの方が健康的になった?

 ”マーガリンは長年、健康に悪いと言われ続けてきた食品だが、2018年以降の米国では、バターよりも健康的な食品になっている可能性を報告する論文が、「Public Health Nutrition」に11月2日掲載された。筆頭著者である米ミネソタ大学のCecily Weber氏は、「マーガリンは心臓の健康にとってバターよりも優れた選択肢だ。特に、硬いスティック状のタイプではなく、タブやチューブなどの容器に入っている柔らかいタイプが最良の選択肢と言える」と述べている。

この文章の冒頭『マーガリンは長年、健康に悪いと言われ続けてきた食品』というコトバに違和感を覚える人は特にわたしの世代では少なくないでしょう。なぜなら、昔は、「動物性であるバターより植物性であるマーガリンの方が健康的だ」と云われていたからです。少なくともわたしが研修医時代はそう教わりましたし、患者さんにも話していました。ところが、マーガリンは液体の油を固形に固める過程でトランス脂肪酸が作られ、それが動脈硬化を助長するから、むしろマーガリンよりバターの方が健康的だ!と突然逆の説明がされ始めたわけです。もうそんな騒動があってから15年~20年近くになるのでしょうから、世の若い人たちはマーガリン=トランス脂肪酸の知識がインプットされていることでしょう。

企業は常に技術的進歩を追求し、「ダメだ」と云われている原因を取り除く努力を惜しみませんから、不健康食品のレッテルを貼られた製品をこっそり生まれ変わらせて不健康の原因を取り除くことはよく行います。このマーガリンの変身もその最たるモノでしょう。ただ、大変なのは、「不健康」としてインプットさせたモノを「健康」に変換させるのはきわめて困難だと云うことです。一旦誤情報を流したあとにどれだけ訂正とお詫びを繰り返してももう広まった誤情報を完全に消し去ることは不可能である、ということは世間のゴシップや風評被害を考えれば明白でしょう。わたしたちの世代などは、一旦逆に修正させられた後に再び元に戻させられるわけで、「もうわけわからん」ということになりますから、無理してバターをマーガリンに換える必要性を見いだせない気がします。

まあ、あと20年もすれば「マーガリンの方がバターより健康的」が普通の常識に替わっているのでしょう。あるいは、「マーガリンもバターも五十歩百歩。昔はそんな不健康な食品を口にしていたなんて信じられない」となっているやもしれません。

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短絡的な犯行

先日の大学入学共通テストの日の朝の切りつけ事件だとか、メンタルクリニックの放火事件や新幹線の中での放火事件だとか、最近この手の短絡的事件が多すぎて、ちょっと感覚が麻痺しつつあります。

どれも共通することは、自分の存在価値が見いだせず生きていてもしょうがないから自死を選択しているのに、自分だけでこっそり自殺せずにあえて何の関わりもない人を巻き添えにしてから死のうとしていること。それが理不尽で自分勝手だ!と怒る原因になるわけですが、せめて死ぬときに社会を驚かせて自分を注目させたいと思う真理はわからないでもありません。もっとも、そういうパターンではどうしても死にきれなくて返って犯罪者のレッテルだけを貼られながら生きていく試練が残される場合の方が多いように思いますが。

冒頭の高校2年生の犯行に対して、通っていた高校が異例のコメントを出しましたが、たしかに孤立して独りよがりになってしまう原因にコロナ禍のリモート授業の弊害はあったのかもしれません。今の学生はヘタをすると入学以来一度もクラスメイトに直接会えなかったり、会ってもほとんど何も話せなかったりするわけだから、孤立はしやすいでしょう。特に高校生や大学生は、入学時点で顔見知りがほとんどいないわけですから。

と、思いつくままに書いてみてはいますが、何が原因で何をしたかったのか、本当のことはわかりません。こういう事件が起きる度に犯罪心理学の専門家や教育の専門家がいろいろコメントしますが、それが正しいかどうか、実はわからない。本人にしかわからないことがたくさんあるはずだから。本人が多くを語らない限り本人の真意は他人にわかりようもなく、かといって別に何もかもを他人に分かってほしいと願っているとは限らないわけで、あまり傍から憶測でなんのかんのと論じることにはあまり意義はないのだろうと思います。

 

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たまごアレルギー

先週末、妻の太もも全体に激しいじんま疹ができていました。「昨夜韓国料理のテイクアウトのオニオンリングを買ってきて食べたのが原因だろう」と本人は分析しています。犯人はオニオンでも油でもありません。おそらくツナギに使ってあったであろうたまごです。最近、彼女のたまごアレルギーが日に日に激しくなってきているので、傍から見ていてもちょっと怖いです。

もともと結婚前から食物アレルギーはありました。でもエビ・イカ・カニなどの甲殻類くらいでした。その後、貝や牡蠣などがダメになり、火を通していない卵白に少し反応し始め・・・と徐々に対象食材が増えていきましたが、特に甲状腺の全摘手術をした辺りから激しくなってきた気がします。今はたまごは全てダメ。世の中、たまごを使ってない料理ってまずまず少ないし、隠し味的にたまごを利用した料理なんて巷にあふれています。だから食べてみないとわからない。普通にお菓子を食ったらすぐに激しい下痢をし始めて、詳しく使用材料を見たら小さな字で「一部卵黄使用」と書いてあったり・・・。自分で料理する時以外は本当に厄介です。

さすがに、酷くなりすぎたので、先日近くのアレルギー専門の耳鼻咽喉科を受診し、アレルギー科の病院に紹介してくれたそうです。「大人になってからの食物アレルギーはかなり厄介だ」と云われたそうですが、それでも専門家に繋いでもらえて、これで少しずつでも良い方向に動くといいな、と思っている次第です。

 

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ウィルスもバカじゃない

地域の開業医で働くスタッフの話では、わたしの住む地域での今のCOVID-19感染拡大の大きな原因は成人式だったようだとのこと。抗原検査やPCR検査の問い合わせをする人の多くは「成人式で一緒になった友人が感染して濃厚接触者になっているようだから確認したい」と云うそうな。式の出席そのものではなく、その後の宴会やカラオケやで拡散しているようだ。そもそも、成人式は都会に出て行った連中が帰ってきて久しぶりに交友を温め合う場なのだから、たとえ帰ってくる連中が出発前に検査して陰性を確認してきたのだとしても道中どこで感染するかもわからないし、感染していたけれど検査したときにはまだ陽性にならなかったかもしれないわけで、決してウイルスと一緒に帰省してきた連中が悪いわけでもなんでもない。

まあ、想定の範囲内の現象でしょう。というか、ウイルスは自らが生き延びるためにはちゃんと効率を考えて無駄なことはしないみたいだ、と感動すら覚える。年末年始や新年度の始まりや夏休みや、とにかく人が移動する時期にそっとくっついて行って増殖する。最初のころは一番ヒマで昼からカラオケに行ったり寄り合いしたりしていた年寄りが中心だったが、今のこの時期は家族連れが自粛気味だったのに対して若者の行動範囲が広いし動きも活発だった。だから、彼らにくっついて行くのが一番効率が良い。わたしたちみたいに、何をするにも臆病で行動範囲が狭くなってしまった年寄りにくっついたところで拡散能力はたかがしれている。COVID-19も何度も波を作りながら反省して改良してきているのだろう、とオミクロン株の動向を眺めながら思っているところです。

年末年始の若者の大移動と宴席が誘因であるのならそろそろ頭打ちしてきても良さそうなモノなのだけど、まだまだ増殖の加速度は衰える空気ではない・・・どうなりますことやら。

 

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インフルエンザ

弱毒化したとはいえ感染力の著しく強いオミクロン株の猛威で世の中汲々としています。「もうインフルエンザと同じような扱いでいいんじゃないの?」と云えば、「インフルエンザより重篤になる率は高いし、インフルエンザのように有効な薬がないのだから、甘く見てはいけない」と専門家が忠告します。

でも、待ってくださいよ。皆さんインフルエンザがどれだけ怖い存在だったか忘れていませんか? ついこないだまで、この季節は外に出るのも大変だったんです。インフルのワクチンの予防接種を済ませていても、都会の学会に行くときには人混みの中に入らないように気をつけ、長いエスカレーターや階段の手摺りなんか絶対に触らないようにし、帰ってきたら必死で手洗いをしていた、あのときの戦いの相手はインフルエンザだったんです。家族のだれかが罹ったら、家族みんなが順番に罹って高熱出して脳炎や肺炎になることもあって・・・インフルエンザってとても怖い感染症なんです。

「治療薬があるから」というけど、「ウイルスに対する治療薬ができたのはついこの間じゃん!」と云ったら、若い人が首をかしげました。だって、タミフルが使われるようになって20年か25年くらいでしょうに。わたしが医者になった当時はまだ『流行性感冒(流感)』と云って、インフルエンザは感冒のかなり強いヤツで、細菌感染じゃないから治療薬がなくて、家でできるだけ暖かくして精の付くモノ食って嵐が過ぎ去るまで寝ておくしかない、と云われていたんです。それに特効薬ができて、「罹らないように予防することはできないけど罹っても軽く済ませることはできる」と云っていた。それでも罹ったら熱が落ち着いてから1週間近くは出勤・出校禁止で、病院受診するのも他の患者さんと分けられていた。

それを考えると、罹ったら皆殺しになるかもしれない!という恐怖に襲われた第一波の新型コロナと違って、オミクロンでほぼほぼ終焉かなと思える状況になったのは少し安心材料なのかもしれません。ちょうどスペイン風邪(インフルエンザ)が出てきた頃の流れと同じなのでしょうから、あと少しの辛抱ですね。とはいえ、いまだにインフルエンザと共存させられている現在、戦う相手が一つ増えたことにはなります。あれ? 今年は流行ると云っていたインフルが肩すかしに終わりそうですけど、今後もインフルエンザか新型コロナかどっちか一方しか流行らない冬がずっと続くと思っていいのでしょうかしら。

 

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カゼ薬

正月に日本酒を飲み過ぎてソファで転た寝したら、どうも喉をやられたらしくモゾモゾする違和感。

「これはヤバい、このままカゼにでもなったらめちゃくちゃ厄介なことになる」

完全に落ち着いていた新コロが年末から急速に再増加し始め、一気に置き換わってきたオミクロン株は上気道感染がメインで発熱よりも普通のカゼ症状がキーになるという。わたしの勤務する職場でも「熱発がなくても、喉の痛みや鼻水が出始めたら必ず上司に連絡し、念のために抗原定量検査(ルミパルス)を受けるように!」というお達しが出たばかり。そもそもコロナはカゼのウイルスですから、カゼ症状に近いのは当たり前と云えば当たり前。本来のウイルスの姿に戻りつつある徴候なのかもしれません。

今のうちに未然に抑えなければと思って薬箱の中のカゼ薬を探すのだけれど、ない。唯一見つけた新ルルは消費期限が2021年1月で終わっている。「1年前じゃん!」と思わず独りで叫んでしまいました。そうなんです。幼少期から年中カゼを引いていた印象のわたしなのに、この1年以上(いや、期限が1年前だということはそれよりはるか前)の間、まともにカゼを引いてないことになるのです。年中きっちりはめているマスクと、ことあるごとに(なくても)しつこく手洗いする習慣は、新型コロナどころか普通のカゼすら寄せ付けなかったことになります。改めて、恐るべし標準予防策。

この冬こそはインフルが大流行するだろうという予測もオミクロン株猛威のために大きく外れそうです。怖いけれど、わたしたちのやるべきは標準予防策と人混みに近づかない努力しかありますまい。1ヶ月以上ゼロが続いた新規感染者数のためにみんなのココロが勝手に『終息宣言』した感があって、あわてて1年前の気持ちを取り戻すのはちと至難の業ですがもう少しがんばりましょう。ちなみに、わたしの喉は龍角散(水要らずのヤツ:これも期限切れ)で大事に至りませんでした。

ところで、もう2年近くずっとはめている不織布マスク。医療用のマスクですが、以前は続けてはめると必ず頭痛がしたり耳の皮膚が荒れて痛くなったりしたものですが、今はそんなトラブルはほぼ皆無。これは、皮膚が慣れたせい?それともマスクのひもの性能がアップしたせい?

 

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「真実はいつもひとつ」?

定期発行の機関誌の冬号が発行されましたので、寄稿しているコラムを転載します。今回の文章はわたしのブログに手を入れたモノです。

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「真実はいつもひとつ」?

両親が共働きだったので、私は幼い頃からカギっ子でした。私には四歳違いの姉がいますが、学校から帰って留守番をする時、私と姉はまったく逆の行動をとっていました。私は、とにかく家中のカギをかけて回ります。泥棒が入ってきたら怖いからです。家中の部屋のドアも全部閉めて、一番隅にある自分の部屋で息を潜めて一人遊びするのが常でした。でも姉は、学校から帰ってくるなりカギを全部開けて回ります。大きな窓のカギも開けます。「何をしているの? 泥棒が入ってきたらどうするの?」と私が非難すると、「泥棒はカギを壊してでも入ってくるのよ。泥棒が来てから慌てて開けようとしても間に合わないのよ。だから、どこから入ってきてもすぐに逃げられるように全部開けておくの」と言い返されました。そんなこと考えたこともなかったのでとても驚きました。もちろん姉の真似をする勇気はないのでその後もカギを閉め続けましたが、その時に、全く同じことでも発想の仕方には真逆の考え方があるのだということを子どもながらに知りました。世の中にはこのようなことはたくさんあります。「真実はいつもひとつ」というのは某アニメの主人公探偵の決め台詞ですが、現実は必ずしもそうではありません。常識と思われていることでも必ず反対の理論が存在するものです。

自分に自信があればあるほど、自分の考え方以外はすべて間違いだという思いになりがちです。私にはものすごく尖っていた時期があり、「どうして、こんな当たり前のことができない?」といつも周りを責めていました。自分に厳しく、だから他人にも厳しく、それが正義だと信じていましたから、自分が正しいと思うことに適わなければ上司にでも食ってかかっていました。震える声で「ふざけるな!」と叫びながら物を投げつけてその場を去ったことは数知れず。でもある時、「相手の言っている事は本当に間違っているのか?」という疑問をいだくようになりました。自信のある人間ほど実は自分にも他人にも優しいのだということも知りました。すると、自分の支えだった“自信”が一気に崩れていきました。そんな時ふとあの子どもの頃の姉の考え方のことを思い出したのです。そして、「そんな考え方もあるのか。そんな発想ができるなんてすごい!」と感動する余裕がいつの間にかなくなっていたことに気づかされました。

凝り固まった年寄りのアタマには想像できないような柔軟な発想がどんどん湧いて出てくる若者たちの考え方に最近はいつも感服するばかりで、いまさらながら、「真実はひとつじゃない」と思うことしきりです。

 

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自律神経の食べ方

昨年衝動買いしたTarzanは2冊。先日のロカボ特集ともうひとが『自律神経メンテナンス術48』・・・いわゆる”四十八手”というコンセプトでしょうね。自律神経のなんたるかや体内時計の重要性などは十分承知なので、エキスだけ抜いて書き写してみました。

5.朝食で全身の時刻合わせ。→6.なにはなくとも糖質を摂る。→7.余裕があればタンパク質も。
朝日を浴びて体内時計をリセットして交感神経をリスタートさせるのは脳の中枢時計。これとカラダの末梢時計を合わせるのが朝食。リセット因子の1番が糖質→糖質を摂ることで分泌されるインスリンが末梢の体内時計を中枢の体内時計に同調させる役目を担うらしい。時間がないならコンビニのおにぎり1個やロールパン1個でもいいと。この場合は血糖をあげてインスリンを分泌させないといけないから、スムージーのような果糖メインのものだとあまり効果がないらしい。第二にアミノ酸摂取でIGF-1を分泌してインスリンと同じ効果が得られるから、糖質だけでなく同時にタンパクも摂るのがベストなのだそうな。

23.計画仮眠をとる。
人の睡眠リズムは2相性(この漢字が正しいと思う)で、起床時から8時間後と22時間後に眠気が襲っているらしい(起床時から8時間と14~16時間後じゃなかったんか??)。だから午後2時頃に仮眠を取るのが理想的。眠くなる前に目を閉じ、15分から30分以内で収め、座ったままで眠るのがいいらしい。

24.間食で腸内環境を整える。
食物線維が豊富な間食で腸内環境を整え、腸内細菌のバランスの乱れを直す。オートミール茶漬けやオーツミルクコーヒーとか、紹介されているけどこりゃわたしには無理だ。

30.夜のスープで副交感神経をサポート。
夕食の最大のポイントは血糖値の急上昇を防ぐこと。血糖値スパイクを避けるため。これが起きると交感神経系が不必要に活性化されてしまい、就寝に向けて副交感神経の働きを高める妨げになるからです。眠りの質改善にはGABA。大豆もやしや発芽玄米がベストチョイス。

と書き写してはみたが、結局わたしへの啓示はとにかくきちんと朝飯を食え(その分、夕飯食いすぎるな)!ということのようであります。やはり、そろそろそうするべき時期が来ているのね。

ところで、このTarzanの裏表紙に、『百年、千年、心に残る歌を。』というMISIAの顔写真とともに、『ストレス緩和 睡眠の質向上』のキャッチコピーの”ヤクルト1000”の広告。わたし、これはときどき飲んでいます。

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ミツウロコ

♪ミツミツミツミツ ミツウロコ
 みんなのくらしによりそうよ ミツウロコ~♪

毎週道曜日の夕方、ちびまる子ちゃんの番組を見ていると出てくる調子の良い音楽のCM。先日、ちょうど仕事の手伝いに来てくれていた友人が夕食を一緒にとりながらこのCMを見て、「ミツウロコって、何? ろうそくの会社?」と云いました。
「なんでろうそく? それを云うなら『蜜蝋(みつろう)』でしょ。ミツウロコはガソリンスタンドかなんか?」と妻。
「えー違うんじゃない? ボクは海産物加工業かなんかかと思ったけど」とわたし。

どうも、ソラでくちずさめるくらいよく知ったCMなのに、肝心のミツウロコという会社が何をしている会社か、だれも全然知らない。早速スマホで検索。

(株)ミツウロコ
株式会社ミツウロコグループホールディングスは、東京都中央区に本社を置く石油製品・LPガス・固形燃料の販売などを行う企業グループの持株会社である。2011年に持株会社制へ移行する際に株式会社ミツウロコから商号変更した。””会社の設立に、3社の運送店が関わっていたことから「三社」の「三」と、魚介類の運送を主に扱っていたことから「鱗」とし、三鱗社→ミツウロコという名称の由来としている。”(wikipedia)
私たちは、マンション賃貸やオフィスビル、商業施設開発を通して、皆さまの暮らしを豊かにするお手伝いをしています。また、ミツウロコグループの不動産部門としてだけでなく、Lifestyle producerの観点からもグループ事業に更なる付加価値を見出し、新たな事業機会を創出することで、お客様と一緒に豊かな暮らしをつくってまいります。”(ホームページ)

なんじゃ? かえってよくわからなくなった。そもそもはわたしたち夫婦のイメージはあながち間違いではないようだけれど、今や全く違う分野に裾野を広げた大会社になっているようです。自分たちの生活にあまり関わりがないのは九州には長崎・福岡・大分にしか関連会社がないからのよう。

別に、ここに(株)ミツウロコの詳細を書きたかったわけではありません。テレビを見ていると、こんな会社がたくさんあります。CMはよく見るし会社名は覚えているけれど何をしている会社かさっぱりわからない、みたいな会社。たしかにひとことで語れない事業内容ではあるのだけれど、実体がわからなくて広告の意味があるのかなぁと疑問に思っていました。でも、現代社会だからこれでいいのですね。今回の”ミツウロコ騒動”のように、わからなければ誰もがすぐに検索する時代。興味さえ持ってもらえれば、それで事業内容は勝手に見ている側が調べてくれるわけです。むしろ短いCMタイムで多くを語ろうとしすぎる方が野暮で煩わしい、そんな時代なのですね。

そんなことを認識できた日曜日の夕方の出来事でした。

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減量の理屈

 「今から1年間で5キロ痩せる、と宣言してきた!」

通っているリハビリ施設から帰ってくるなり、妻がそう云いました。「さすがにこれはなんとかせねば」と何度目か(笑)の危機感を覚えたのだそうです。

「ちゃんとやれば必ずできますよ」とトレーナーさんからも激励。「だって、考えてみてください。一年に5キロなら半年で2.5キロですよ。月に400グラムくらいなんだから、そう考えたら簡単ですよ」って。

まあ妻もすっかり妙齢です。女性ホルモンが加速度を増して脂肪細胞に転化していく世代ですから、そう容易(たやす)いことではないことくらい本人も知っているようです。そして、トレーナーさんの激励内容も、現実的にはそんな直線的な変化は起きないことをみんな知っています。取りかかるときの”やる気”を高める効果くらいしかないでしょう。

実践した人は実感していると思いますが、ダイエットというのは決めたことをやり続けて最初の1ヶ月くらいしないと明確な体重変化は起き始めません(開始してすぐに何キロも減るのはおそらく異常にムリをしているか元々の生活が乱れ過ぎているか)。ずっと横ばいで「これ大丈夫なの?」と疑心暗鬼になっても地道にがんばり続けて、カラダが自分の主人の真剣度を信用し始めてから初めて反応するものなのですから。さらに、同じことをずっと続けていてもある時点から突然減らなくなります。インとアウトのバランスが平衡になる時は必ずきます(まじめにがんばっていれば、ですが)。ここで諦めると必ずリバウンドするわけですが、それ以上減量をしたければもう少しムリをしなければならないことになります。でも、わたしはそれは必要ないと思っています。自分のカラダが生み出した平衡点は自分のカラダにとっておそらくその時点でのベストな状態だと思うからです。今から何かのコンテストに出るとかいうのでなければ、これ以上ムリをする意味がないと思います。

正直なところ、目標点に達することよりも達した後にそれを維持させることの方がはるかに大変だということを多くの人は経験で知っています。だからリバウンドがあり、だからダイエットの戦いが一生続くのであります。

 

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電子タバコ包囲網

相変わらず有名タレントなどを使った電子タバコのCMが幅を利かせて「タバコ吸うならこれにする」「わたしはこれでタバコをやめられた」などというキャッチコピーがまことしやかに流れている今日この頃ですが、世間の電子タバコ包囲網は実はもうとっくに完全否定に軸が移っています。どうか世の電子タバコ族のみなさん、せっかく「タバコは身体に悪いから止めよう」と一念発起して行動に移したのだから、一時逃れせずこのまま一気に禁煙してしまいましょう。

昨年から出されている電子タバコの健康被害の報告いくつか羅列します。タイトルは明らかに電子タバコ否定の表現なのに、本文内には微妙にニュアンスが一時逃れできそうなデータが含まれているのが気になりますが、まあこれは恒例の企業忖度というやつでしょうか。

「ニコチン」を含む電子タバコは血栓形成リスク、血圧や心拍数を上昇-ERS2021発表

電子タバコも骨折を増やす

電子タバコの使用によって勃起不全になるリスクが倍増する可能性、ニューヨーク大学研究報告

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タガメット

『タガメット』(シメチジン)という薬は、遠い昔、わたしが国家試験に合格して研修医になった年の数年前に発売された胃潰瘍の薬です。H2ブロッカーというこの薬は胃酸の分泌を強烈に抑えてくれて、今までなかなか治らなかった胃潰瘍治療を画期的に改善させました。その前なら普通に手術になった症例も治してしまい、わたしが医者になった当時、すでに胃潰瘍で外科治療を受ける例はほとんどなくなっていました。

 そんな画期的な新薬(夢の薬)を大学病院では普通に使っていましたが、わたしが夜間当直のアルバイトに行っていた地方の開業の先生(消化器外科が専門の先生でした)はタガメットを決して使いませんでした。「まだ、発売されて数年の薬をそう簡単に信用してはいけない。本来出るべき胃酸を強烈に抑えて、それで人間の身体が正常を保てるはずがない。わたしは恐ろしくて到底使う気にはなれない」と云っていたのを覚えています。「田舎の年寄りの医者は偏屈で頭が固いから困るよ」と大学病院の消化器の先生方は嘲笑していましたし、当時はわたしもそう思っていました。

結果として、タガメットは30年経っても身体に大きな負の影響は与えていないように見えます(もっとも、時代はH2ブロッカーの時代ではなくプロトンポンプ阻害剤の時代からさらに新しい機能の時代に移ろうとしていますから、タガメットなんて若い先生は使ったこともないのかもしれません)。でも、これはあくまでも結果でしかなく、人体実験をするのは医師の良識に反するモノ。新しいモノが出たからといってすぐに飛びつくべきではないというバイト先の先生の考え方はよくわかります。一方で、たとえ人体実験になるとしても、新しいモノを自信を持って使っていかなければ進歩はありません。これまでの歴史の中でも医療の進展には必ずワサモンが存在し、試行錯誤の中で治療薬や治療方法は飛躍的に進んで行ったのは事実です。現在の新型コロナウイルスのワクチンにしても、遺伝子に作用させる薬剤である以上、賛否両論の存在は当たり前ですが、その正誤の評価は歴史が決めるしかないわけで、今現在、ワクチンを否定する人も肯定する人も各々の信念の元で受け止めて、少なくとも他人に行動を強要すべきモノではないはずではあります。「おまえが受けないから集団免疫ができあがらないのだ」と受けない人をバッシングすることだけは避けてもらいたいと思うひとりです。 

2017年度 高松赤十字病院モーニングセミナー資料> 

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ハンドドライヤー

ハンドドライヤーとかジェットタオルとか云われているものは、よく公共の建物内やスーパーなどの店舗のトイレに設置されている、あの手を洗った後の水を吹き飛ばして乾かす器具ですが、新型コロナが流行し始めて程なく、日本中のすべてのハンドドライヤーが使用停止になりました。洗った手についたウイルス、あるいは患者の咳やくしゃみの唾が水と一緒に飛び散って感染拡大の原因になるかもしれないから、という理由だと思います。

あれが、徐々に使用再開になってきていることにお気づきでしょうか。上記の使用停止を推奨する政府の指針が出されたのが2020年5月、それに対して経団連三菱電機の検証結果を踏まえて見直し指針を出したのが2021年の春なわけで、もうすでにそれから1年近く経とうとしているのに、世間は一向に再開の動きになりません。おそらく、政府がGo!を出さないからだと思われます。再開して感染拡大したら責任問題だから、という感じで二の足を踏んでいるところでしょうか。おそらく、経団連の企業から率先して積極的に再開させないとなかなか社会で再開の空気に加速度はつかない感じはします。

 わたしが産業医をしている企業ではこの春からハンドドライヤー使用再開に踏み切る方針になりました。不特定多数が使う場所ではないのだし、そもそも自分の手持ちのハンカチの方がはるかに不潔なのだから、ペーパータオルを使うのでなければハンドドライヤーの方が清潔ではないかと思っています。頻繁に消毒や事後管理をすること、利用者はたとえハンドドライヤー使っても生乾きの状態では不潔であることなど、コロナ前の常識はきちんと踏まえて使ってもらいたいと思っております。でもまあ、ペーパータオルがベストだとは思いますけれど(SDGsの考え方に退行するかもしれませんが)。

PS)と、書いた後、オミクロン株の影響もあって一気に感染者が増えてきた状況を鑑みて、ハンドドライヤーの使用再開は再延長になりました。「関係ないよ」と思いつつ、何かあったときの責任は日専連は取らないはずだから、そりゃ簡単には動きません。残念です。

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怖いわ

新型コロナの再流行は地方でもとんでもない勢いで広がっています。デルタ株までは、まがりなりにもちゃんとしておけば・・・『なんちゃってマスク』ではなくてきちんとしっかり隙間を作らない不織布マスクを装着をし、『なんちゃって手洗い』ではないきちんと系統だった医療的な手洗いを何度もやっておけば感染するはずがない、と高をくくっていたのですが、オミクロンはそうか行かない気がします。相手はエアロゾルでしょ。

一昨日は泌尿器科病院を受診するために路面電車に乗りました。行きは15時半だったので客も少なかったし、熊本市の感染者は2人(県外旅行組)だったけれど、帰りは17時半で通勤・通学帰りの人で電車の中はほどほどに混んでいまして、しかも病院で待っている間に確認した熊本市の感染者数は15人。一瞬目を疑いました。これを見てから帰りの電車に乗ったので、とても怖くなりました。周りの乗客が全部感染者に見えました。電車に乗りこんでたまたま空いていた座席(身障者用)に即座り、腕くんで何にも触らないようにして、マスク越しに息を凝らしてまんじりともせずにじっといました。それでも、怖い。オミクロンは、この乗客の中に感染者が1人でもいたらそれだけでうつるかもしれない。そんな感染力だと聞いているからです。みんな、1か月以上感染者ゼロが続いて昔のピリピリ感をすっかり忘れているし、「オミクロンは症状が軽いらしい」と云うので甘く見ているけれど・・・うつるよ、絶対!

ブースター接種を年末に済ませたわたしですが、それでも怖い。第1波のときの鬼気迫る状況だったときの感覚に近いものを感じています。世間のみんな、そんな甘さでいいのかぁ?

 

 

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超加工食品

超加工食品の摂取は心血管疾患死のリスクを上げる

 
心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患(CVD)の経験がある人は、「超加工食品」を食べるのは避けた方が良いかもしれない。IRCCS NEUROMED(イタリア)のMarialaura Bonaccio氏らの研究で、CVDの既往歴がある人では、超加工食品の摂取量が多いと、CVD再発による死亡リスクの高いことが示されたのだ。この研究結果は、「European Heart Journal」に11月30日発表された。

2022年のCare Netからの一番最初の配信ニュースがこれだったので取り上げましたが、これは1年前にも似たような報告があります( 「超加工食品はあなたの心を壊しています?」) 

 要するに、人間の身体にとってそもそも入るように設計されていない人工物が大量に入ってくると処理できなくなって臓器が壊れる・・・自然界がそうやって破壊されてしまっているのと同じことが人体にも当然のように起きるぞ、という警鐘。それがあまりに当たり前すぎて一般ピーポーに響かないから何度も似たような報告がなされるのでしょうか。ただ、この記事の中でアメリカの某循環器科医が「この研究では、超加工食品自体が死亡リスクの増加をもたらすのか、あるいは超加工食品の摂取量が多い人は他にも不健康な行動を取りがちで、そのことが死亡リスクを高めているのかが明らかにされていない」「超加工食品を避けるよう厳格な推奨を示す前に、より厳密な臨床試験で因果関係を検証する必要がある」とコメントして強調させているところに、どこか超加工食品製造メーカーへの気遣いが露骨に感じられ、社会の闇を感じます。

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健康長寿

ネタバレしていますけれど、わたしの義母や叔母や伯母はみなさん”アラ米寿”ですが、呆れるほどにお元気です。

義母は87歳:ますます元気な義母は来年88歳(米寿)。でも、「お祝いはいらない」と。米寿のお祝いをすると皆一気に年寄りになって死んでしまうから、と。年末に会った大分の叔母も云ってました。「私はまだ死にたくはない」・・・1年前に心臓手術受ける前は「もう死んでもいいから受けない」と云っていたのに・・・でも、この生への執着が健康長寿の必須条件だということを痛感した次第”(2021.12.31「わが家の10大ニュースつづき」から)

そして、コロナ禍のために最近お会いしていない母方の伯母からの年賀状にも「来年米寿の歳になりましたが、とにかく毎日したいことが多くて忙しい。時間がどれほどあっても足りないくらい」といつものように元気そう。

彼女たちの共通点は、「まだまだしたいことがたくさんある」「まだまだ死にたくない」というコトバを公言して笑い飛ばしていることでしょうか。わたしのように、「もう特別したいこともないし将来の楽しみもないから、楽に死ねたらそれでもいいかな」なんて、一見悟りを開いたように見える投げやりな考え方をしていると、何も良いことはないぞ!と云っているかのよう。「何云ってるの、あんたはまだ全然若いんだから、今から何でもできるじゃない!」と叱咤激励されている気分です。

この年末年始に元気いっぱいの”超お姉さま方”に関わったことは何かの啓示だと受け止めて、今年は前向きに生きていくことにしよう!と思った年の初めなのであります。
 

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『糖質OFFの最新』(3)

(つづき)

●酒のことは押えておかねばなりませんが、結局糖質との戦いなのだから糖質ゼロの蒸留酒(焼酎など)かチューハイやハイボールを飲んでおけばいい(せめてビールは最初の一杯でやめる)のだけれど、注意点はそれなりにありそう。
※アルコールが肝臓で分解されるときにできるアセチルCoAが脂肪酸の原料になり、余ったものが中性脂肪になる。体内にある時間遺伝子BMAL1は起床13時間後から15-19時間めにピークを迎えるがこの遺伝子が脂肪を蓄積させる作用がある(だから「夜食を食べると太る」といわれるわけですが)。つまり、酒は2時間以内にさっさと飲み、夜8時頃までに飲み終えるのが良い、という。
※肝臓は生命維持のためのさまざまな機能を司ってるが、肝臓が最優先にすく仕事がアルコール分解なのだという。毎日そっちの仕事をした上でその他の仕事をさせられると肝臓が疲弊する。そういう理由だから休肝日は必要なのだそうな。「最低でも週2回、できれば3回は休肝日が欲しい。さらに連続で抜くほうがよい」・・・と、云われても、なあ。
※酒飲むと肝臓が糖質を使ってアルコールを分解する。肝臓に蓄積されているグリコーゲンを糖化させたあとアルコール分解に使われるので血糖が低下し、アルコール分解作業中は肝臓の糖新生(肝臓で糖を作る)機能もストップするのでさらに血糖が低下する。だから、「〆のラーメン」が欲しくなるのだそうな。でもその血糖低下は微々たるもので、これは脳の錯覚だから、〆なんていらない!という。

ま、知識として知っておきましょう(笑)

さて、とりあえず書いてあること(ロカボ・スローカロリー理論)は理解したのだけれど、わたしがこの2年間主張してきた『時間栄養学』の理論=「夜に食うモノは極力朝に回せ」というやつとちょっと矛盾してしまって困っています。”朝は忙しくて食事開始20分後に糖質を摂るような時間がない””夕食は糖質さえ減らせば他の制限無用”と云われてしまうと・・・説明するときにどう折り合いをつけようかと悩み始めているわたしではあります。

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『糖質OFFの最新』(2)

読みながら、マークをつけたところを抜粋すると、

●「血糖値が下がると空腹中枢が刺激され、食事して血糖値が上がると満腹中枢が刺激される」というのはフェイク。つまり、血糖の上がり下がりが食欲を司っているわけではない、ということ。これはさすがに分ります。空腹時に分泌されるグレリンが空腹中枢に作用し、食うとインクレチンなどのホルモンが出て食欲を抑える・・・かなり前にどこぞの外科医が配信してくれていたメルマガで知った内容のような気がします。

●「カロリー制限で寿命が延びる」というのは現在は疑問視されている。これはちょっとショック。サーテュイン遺伝子のことでしょうか。それともテロメアのことでしょうか。でも、「カロリーを減らしても高血糖は起きる」というのは分りますが、「量よりも質だ」と理解していました。「何を食べるか」ではなく「どう食べるか」だと・・・え、違うの?そうじゃない? 「糖質を減らせばよいだけ」と? いよいよロカボの真髄理論が入ってきました。

●8ルールとやらをタイトルだけ書き写す(あまり内容を書くわけにはいかないので)。
1.食事の糖質量は1回あたり20g以上、40g以下にする(少なすぎてもよくない)
2.カロリー制限ではない(”ロカボ”ですから「減らす」のは糖質)
3.タンパク質と脂質、食物繊維をしっかりとる
4.ゆっくり食べて、カルボラスト(食事開始20分後から糖質に手を出すのが理想、とな)
5.朝食は糖質20g以内に
6.隠れた糖質を見逃さない:かぼちゃ、ソーセージ、春雨、ケチャップ、あんかけ片栗粉など
7.がまん無用、間食OK:間食は糖質10g以内:おやつはロカボのマスト
8.食後は軽くカラダを動かす

(つづく)

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『糖質OFFの最新』(1)

先日、尿管結石の粉砕術を受けるにあたって大事を取って一泊入院したので、暇にまかせて本を一冊読みました。テレビだったりスマホだったり、日ごろ雑音だらけの中で生きていると本当に本を読まなく(読めなく)なっていました。で、選んだ本は、小説やエッセイではなく雑誌『Tarzan』・・・”糖質OFFの特集~肥満や病気の根源は「食後高血糖」だった!”というサブタイトルの何となく内容が想像できるヤツ・・・こんなときくらい仕事と関係ないものを選べばいいのに・・・と自分でも思います。

おかげさまで、ほぼ一冊読み終えましたが、監修が北里大学の山田悟先生、つまり内容がほぼほぼ『ロカボ』の実践でした。まあ、ロカボのホームページを登録し、「ロカボは良いよ」と他人に勧めている割にアバウトにしか知らなかったので、それなりに勉強にはなりました。ちなみに、こういう専門職でない人が編集する医学情報は、たとえ専門家の監修があっても鵜呑みにしてはいけません。かなりインパクトの強いデフォルメした表現が多くなるのが常なので要注意なのであります。わたしも情報誌の記事にインタビューで取材されたことが何度かありますが、それで出来上がったゲラ原稿を読んで愕然としたことがあります。ほぼ八割方まちがった内容だったからです。なにしろ、読んでもらってなんぼ的なところがあるので、「え、そこに食いつく?」みたいな意味の無いところを強調しすぎて、本題というか本来のポイントを逃すこともよくみられるからです。

ということで、本題は次へ。(つづく)

 

 

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信神しなさい

去年の初詣は1月4日でした。密を避けるために恐る恐るでした。今年は1日に行きました。人出は一昨年までほどではなかったもののまあまあ多かった。全体的に、感染への心構えが甘くなっているというよりは感染対策の日常に慣れてきたと云うべきでしょか。日本人はマジメだから本当に大きな第6波にはならないのではないかと感じています。

毎年恒例のお神籤は『末吉』でした。「パッとしないね」と覗き見た妻は笑ったけれど、書かれている内容はかなり前向きでした。やっと”八方塞がり”から抜け出せそうな年回りのわたしには追い風の内容でしたので、そのまま書き写します。

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吹きあれしあらしもいつかおさまりて 
軒端にきなく うぐいすのこえ

身の煩いも散り失せ禍い事もなくなり旧(もと)の道を守って辛抱おこたらなければ幸福身にあまって家の内も明るく楽しく暮らされます
信神(しんじん)しなさい

願事 他人と共にして吉
   我儘せねば諸事叶う
待人 来る 驚く事あり
失物 出る 手近いところ
旅行 遠き方利益多し
商売 買うによし利あり
学問 目標の情報を集め全力を尽せ
相場 売り買い共に損
争事 勝つが難有
恋愛 思うようにならぬもあせるな
転居 急ぐな
出産 安し 心強く待て
病気 なおる 信神せよ
縁談 人にたのめば早く叶う ひそかにしてよろし

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わたしに関係ありそうな、『願事』『失物』『学問』『病気』はすべてヨシなので心強い。ポジティブなお告げはすべて素直に信神するわたしです。

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ワクチン、ワクチンって?

「老化細胞除去ワクチン」の開発に成功

順天堂大の研究グループが、老化の原因とされる「老化細胞」を除去するワクチンの開発に成功したと発表した。マウス実験で加齢に伴う諸症状が改善したことを確認しており、ヒトへの応用も期待できるとしている。
老化細胞だけに作用し、副作用をおさえながら除去できる手法として、老化細胞に現れる「GPNMB」と呼ばれるタンパク質をターゲットに、老化細胞を除去するワクチンを開発した。

またまた感染症ではないものに対する『ワクチン』だ。先日『脂質異常に対するワクチン』が熊本大学で開発された、という話題を書いたばかりです。もはやこうなると「『ワクチン』=感染症の対抗策」という構図は取っ払って考えなければならないということでしょうか。

とにかく、いろんな現象が「ワクチン接種で止められる」という時代が来ているのでしょうが、これはほんとうに喜んでもいいものでしょうか。”予防”ではないのですよ。悪化しているLDLコレステロール値が改善したり、増えてきた老化脂肪を選択的に除去できるっていうことは、ヒトは努力したり制限したりして生活習慣病予防をする必要はなく、悪くなったらワクチンを使えば良い、という方向に必ず行くのですよ。いや、道徳的なはなしではなく、ヒトのカラダの営みには必ず必然があるはずなのに、目的にかなわないものだけを意図的に曲げてしまうことが、トータルの人生として問題ないことなのでしょうか。本文に書いてあるように、たとえ実用化されるようになったとしても当面は家族性疾患や難治性の代謝疾患に悩むような特殊な患者さんにだけ使えるようにしてほしいものだと思います。

実用化されるのがいつのころになるのかはわかりませんが。

 

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