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インフルエンザ

弱毒化したとはいえ感染力の著しく強いオミクロン株の猛威で世の中汲々としています。「もうインフルエンザと同じような扱いでいいんじゃないの?」と云えば、「インフルエンザより重篤になる率は高いし、インフルエンザのように有効な薬がないのだから、甘く見てはいけない」と専門家が忠告します。

でも、待ってくださいよ。皆さんインフルエンザがどれだけ怖い存在だったか忘れていませんか? ついこないだまで、この季節は外に出るのも大変だったんです。インフルのワクチンの予防接種を済ませていても、都会の学会に行くときには人混みの中に入らないように気をつけ、長いエスカレーターや階段の手摺りなんか絶対に触らないようにし、帰ってきたら必死で手洗いをしていた、あのときの戦いの相手はインフルエンザだったんです。家族のだれかが罹ったら、家族みんなが順番に罹って高熱出して脳炎や肺炎になることもあって・・・インフルエンザってとても怖い感染症なんです。

「治療薬があるから」というけど、「ウイルスに対する治療薬ができたのはついこの間じゃん!」と云ったら、若い人が首をかしげました。だって、タミフルが使われるようになって20年か25年くらいでしょうに。わたしが医者になった当時はまだ『流行性感冒(流感)』と云って、インフルエンザは感冒のかなり強いヤツで、細菌感染じゃないから治療薬がなくて、家でできるだけ暖かくして精の付くモノ食って嵐が過ぎ去るまで寝ておくしかない、と云われていたんです。それに特効薬ができて、「罹らないように予防することはできないけど罹っても軽く済ませることはできる」と云っていた。それでも罹ったら熱が落ち着いてから1週間近くは出勤・出校禁止で、病院受診するのも他の患者さんと分けられていた。

それを考えると、罹ったら皆殺しになるかもしれない!という恐怖に襲われた第一波の新型コロナと違って、オミクロンでほぼほぼ終焉かなと思える状況になったのは少し安心材料なのかもしれません。ちょうどスペイン風邪(インフルエンザ)が出てきた頃の流れと同じなのでしょうから、あと少しの辛抱ですね。とはいえ、いまだにインフルエンザと共存させられている現在、戦う相手が一つ増えたことにはなります。あれ? 今年は流行ると云っていたインフルが肩すかしに終わりそうですけど、今後もインフルエンザか新型コロナかどっちか一方しか流行らない冬がずっと続くと思っていいのでしょうかしら。

 

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