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若ペニア

2月1日に配信されてきた保健指導リソースガイドに紹介されていた『全国生活習慣病予防月間』の市民公開講演会の動画を先日ゆっくり拝聴しました。

 『こころの密を育てる―ネガティブになりがちな今だから「多くの人・こと・ものとつながる」』と題した認知行動療法の大野裕先生の話も面白かったですが、ここでは第2部の「認知機能低下を防止する生活習慣がわかってきた!」という河盛隆造先生のお話を紹介します。糖尿病の第一人者として糖尿病予防の啓蒙啓発に従事されていた河盛先生(わたしが人間ドックで血糖変化のなんたるかを説明している内容はすべて15年くらい前に河盛先生のセミナーで教わったことの受け売りですから、わたしの予防医療の実績のすべては河盛先生に出会ったこと(一方的ですが)に起因しています)が、名誉教授になられた後にこんな仕事をされていたとは存じませんでした。河盛先生がセンター長を務めている順天堂大学大学院スポートロジーセンターというのにまず興味が向かいます。

<Part1 スポートロジー研究が明らかにする現代人の生活習慣>

『スポーツ医学』との違いやスポートロジー創設の経緯などを説明の後、河盛先生がプレゼンしてくれた内容は『やせメタボ』のなんたるかということでした。肥満がなくて”健診でもなんら異常がない”のに運動不足のために筋量・筋力の低下から筋のインスリン作用が低下しそのためにエネルギー消費量が低下するとか、脂肪摂取が多くなって肝でのインスリン作用が低下して糖負荷後に過血糖になるとかいうデータを説明していただき、改めて運動の大切さを痛感。それよりも、予防医療に関わる立場としては、”健診で異常がないのに”とサラッと云い流されたことばにショックを受けました。

河盛先生が強調していたのは若いやせ女性の代謝異常が想像以上に悪化していたことでした。検査をした20代女性41人全員にビタミンD欠乏と筋力低下があり、低骨量状態が全体の37%、すでに骨粗鬆症状態の人がやせ女性の9%に認められ、もはやこれはサルコペニアに近い状態だったというのです。更年期~閉経以降の女性に見られるようなサルコペニアやフレイルの状態が20歳代ですでに認められている、つまり『若ペニア』『若フレイル』状態だ!と警鐘を鳴らされていました。概念的には知っていましたが、ここまでデータを示されると危機感を感じますし、大いなる危機感を持って啓蒙啓発するのが予防医療の携わる者の使命だと痛感した次第です。

 

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