代替タンパクの質の問題では?
”国立がん研究センターがん対策研究所予防関連プロジェクトの研究グループは、多目的コホート研究JPHCのデータを用いて低炭水化物食とがん罹患との関連を調べた結果をCancer Sci(2021年11月25日オンライン版)に発表。炭水化物の割合が低い場合、がん罹患リスクが高かったと報告した。この関係は脂質および蛋白質の摂取源が動物性食品の場合、より顕著であった。”(Medical Tribune 2022.2.8配信)
この低炭水化物ダイエット主流の社会の中で、なかなかインパクトの強い研究内容だと思って読んでみましたが、これはちょっと主役が違うのではないかと思いました。
・低炭水化物スコアが高いほど、全部位および直腸がんの罹患リスクは高い傾向が(順に傾向性のP=0.012、傾向性のP=0.034)、胃がんの罹患リスクは低い傾向がそれぞれ認められた(傾向性のP=0.006)
・動物性食品に基づく低炭水化物スコアが高いほど全部位、大腸がん、直腸がん、肺がんの罹患リスクが高く、胃がんの罹患リスクは低い傾向が認められた
・植物性食品に基づく場合は、低炭水化物スコアが高いほど胃がん(P=0.031)の罹患リスクが低い傾向にあったものの(傾向性のP=0.031)、罹患リスクが高まる傾向を示したがん種はなかった
つまり、低炭水化物食ががん罹患リスクを高めているというよりは、炭水化物を減らす代わりに摂取する量が増量される傾向のあるタンパク質や脂質が、それも特に動物性由来の食品が多いほどリスクを高めている、ということを示しているにすぎないのではないかと読み解きましたが、間違っているんでしょうか。炭水化物を減らしてもタンパク・脂質を増やさなければ(むしろ一緒に減らすことをお勧めしますが)問題ないのではないかと思うけれど、そういう検討はしていないようです。
少なくとも「炭水化物を減らすとがんになりやすい」という研究結果ではないことは強調してほしいものです。要するに、副題の『脂質・蛋白質の摂取源が動物性食品の場合により顕著』がメインなのだと悟りました。
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