見つかることは悩ましい
”ウエアラブルデバイスや人工知能(AI)の進歩により、心房細動診療が大きく変わりつつある。従来は「見つける」ことそのものが難しかった発作性心房細動は、患者が常に身に着けるスマートウオッチによって検出が容易となり、さらには心電図波形から将来の心房細動発症を予測するAIの実現へと到達しつつある。不整脈が「見つかる」時代の到来は、心房細動診療をどう変えるのだろうか。”
日経メディカル2022/03/15配信号に掲載された特集記事が興味深かった。原因不明の脳梗塞の原因に症状のない発作性心房細動による血栓塞栓が少なからず隠れているということが2週間の長時間心電計の装着により明らかになってきているものの、現実にはなかなか発作キャッチできないのが現状でした。「無症候性の心房細動の検出は、心房細動診療における積年の課題だった」というところ。ところが、今はアップルウォッチに代表されるウエアラブルデバイスやAIを用いたホルター心電図解析などの発達により、無症候性発作性心房細動をキャッチする(見つける)ことはかなり容易になってきています。まだまだノイズなどの問題がありますが、おそらくどんどん高性能に変容していくことでしょう。
で、ここで問題になるのは、”見つけてしまった”心房細動をどうするか?ということです。数秒間の発作でも脳梗塞予防のための薬剤治療をするべきなのか、どの条件が揃ったら治療対象になるのか、その基準がまったくないのです。過剰に抗凝固療法をしてかえって出血の合併症が増えても本末転倒ですが、見つけたのに放ったらかして脳梗塞が起きたらその責任はどうなるのか、ということもあります。容易に見つけることができるようになったからこそのジレンマ。早々にデータを蓄積させてウエアラブルデバイスやAIで発見された発作性心房細動に対するストラテジーを確立させなければなりません。
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