『ウォーカブル』
”歩道が多い都市部に住む高齢者は、認知症の発生が少ないことがわかった。76,053名の高齢者を対象に2010年から約3年間追跡し、歩道面積が少ない地域に住む人と、多い地域に住む人を比べたところ認知症発症リスクは45%低かった。この結果は都市部に住む人、または車を使わない人でのみ見られた。歩道が多く、ウォーカブル(歩きやすい)な地域に暮らしているだけで、認知症になりにくい可能性が示された(Tani Y, et al., 2021)。”
日経BPに特集連載記事としてアップされていた文章を眺めながら、知らず知らずのうちにわたしのアンテナが無意識のうちに『0次予防』を選んでいることがわかります。まあ、勝手に向こうからわたしの目に入る場所まで寄ってくるというのが正解か。とにかく、健康は自分の意識で予防する(1次予防)概念から社会環境が健康に誘う(住んでいるだけで健康になる)という0次予防の概念にシフトしようとしています。この記事は、その最たるものです。詳細はなかなか見れないかもしれないので、エキスだけ抜粋してみます。
・居住地の歩道面積割合が最も低い地域の高齢者に比べ、最も高い地域の高齢者の認知症の発症リスクは45%低かった。
~この関連は都市部と車を利用しない高齢者でのみ認められ、単純に歩道を歩くことが認知症予防に優れているというだけではなく、歩道を歩くと日常ですれ違う人との会話が生まれ交流の場となることや、歩道が広ければ街路樹があり、緑のメンタルヘルス効果や木陰の快適性ももたらす可能性を指摘していました。
・歩きやすい地域の高齢者は外出頻度や歩行量が多い。
・生鮮食料品店が多くアクセスしやすい環境ほど野菜や果物の摂取頻度が多い→要介護を受けにくい。
・近くにサロンができると参加率が高くなる→要介護認定率が低い。
・気軽に立ち寄ることができる家や施設が多いほど睡眠の質が良い。
・近隣環境が良いと、BMIが改善される。
・坂や段差などが多い近隣に居住する高齢者には中等度以上の糖尿病が少ない。
・緑が多く小学校の近くに居住している高齢者でうつが少ない。
・車を利用しない人で死亡率が低かった。
最近の都市計画が、このような『0次予防』の視点から見直されていることはとても素晴らしいことだと思います。
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