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2022年4月

寝たらやせる!

実証された「寝る大人は痩せる」

Medical Tribune20220426日配信)の人気シリーズDoctor's Eyeでの北里研究所病院山田悟先生の今回の記事、大変参考になりました。

「寝る子は育つ」は子どものことであって、大人は「寝ない子は太る」・・・夜更かししたり睡眠時間が短い人ほどメタボで生活習慣病になり易い、というのがもはや常識です。「わたしは睡眠時間が短くても体調はすこぶる良いし、健康そのものだ」とショートスリーパーであることを自慢するナポレオン気取りの人は今でも少なくないけれど、そんな面倒くさい連中はほったらかしておくとして、わたし達凡人は、睡眠時間をきちんと取る(もちろん睡眠の質も含めて)ことが健康に欠かせない必須項目であることに異論はありません。

今回山田先生が紹介しておられる論文は、「睡眠時間の短い過体重の人が、睡眠時間を増やすとやせられるのか」という研究で、日々の睡眠時間6.5時間未満、年齢2140歳の過体重者(BMI 25以上30未満)をコントロール群と睡眠時間延長群にランダムに割り付けて4週間観察したところ、1時間の睡眠時間を増加させるだけでエネルギー摂取量が有意に減少するとともに体重が有意に減少したそうです。つまり、研究前の仮説がモノの見事に実証されたことになります。研究したシカゴ大学グループが云うように、「睡眠時間が7時間に満たない人に対する睡眠延長指導介入は肥満対策として有意義だ」という結果は、是非現場でも活かしてもらいたいものだと思います。

もっとも、かく云うわたしの家庭は典型的な宵っ張り夫婦で、日付が変わる頃に「そろそろお風呂を沸かそうかな」という感覚ですから、「最近どうしてこんなに太ってくるのかしら」とお腹の脂肪を摘まんでぼやく前に、まず睡眠時間を改善させることが必須なのでしょう。

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薬を出す先生

人間ドックで精査や治療を要する結果が出た場合に医療機関を受診する勧奨をするわけですが、かかりつけ医がない場合に初めての人間関係ができることになります。医療機関受診の初対面って、たぶん結婚のお見合いをしたときの初対面よりも敷居が高いのだろうと思います。わたしたちが紹介して、一年後に「あそこの先生は信用できなかったから受診をやめた」というパターンの双璧は、『最初からすぐにたくさんの薬を出す先生』と『ほとんど詳しい説明をしてくれない先生』・・・もちろんこれは受診者目線でのレッテルですけど。

先日受診した方も、「昨年高血圧で紹介状が出たから自分で調べて近くのクリニックに行ったけれど、大した検査をすることもなくたくさんの薬を出されて、2週間後に受診したけれど血圧管理の評価をするでもなくまた薬をくれた。ほとんど説明もないから不信感が増して病院を換えた」と云う。たしかにあそこの先生は「たくさんの薬を最初から出すために受診を自己中止した」と云う受診者が少なくありません。件の受診者は他の医療機関に行って、「今は食生活に注意しながら経過観察をしてもらっている」と安心顔で語ってくれました。

でも、どっちの先生が厳しいのかと云えば、明らかに後者です。前者の先生は「値を管理するために食事や運動を理論通りに徹底するのは大変だし、今までと比べものにならないくらい厳しく自己管理することなど現代社会人はまず不可能だから、儚い期待に賭けるのではなく、取り返しの付かない合併症を起こす前に早々から薬剤で確実に管理するのが健康的な選択だ」と考えているのではないかと思います。当てにならない生活管理より薬剤管理の方が確実で安定したコントロールができるというのがポリシーでしょう。

「まずは生活療法から」は常套手段なのですが、人は自分で云うほど頑張りません。「薬が要らないのだからまだ軽い方」と思い込んでしまって、形ほども努力しない(例外的にがんばる人は確かに居ますが、大多数の凡人はしません)。高血圧症のための塩分管理を5g/日未満にするなんて、塩分好きの日本人(特に高血圧患者)には生殺しもいいところ。というか、たぶん味がなさ過ぎて吐き気すら催すかもしれません。「当てにならない温情は何もしない状態よりむしろ悪い」ということを薬処方好きの先生は何度も経験してきているに違いありません。

まあ、かく云うわたしは「くすりは極力少ない方がいい」というポリシーで診療していましたから、タイプからすれば後者。本来の人間の姿に戻るべく”性善説”で相手の努力を促すタイプ。相手を信用(信頼)しているのではありません。「できるものならやってみろ。薬を飲まないで頑張るというのは生半端な頑張りでは通用しないのだぞ」と密かにいじめているタイプ。とんでもない悪魔でありました。わたしなんかは絶対に開業医に向かないタイプなんだろうなと思います。

 

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塩分制限に注意

地球温暖化で低ナトリウム血症による入院が増加か

気候変動が健康にもたらし得る脅威のリストは増加し続けているが、低ナトリウム血症もそのリストに加わることになりそうだ。地球の平均気温が2℃上昇すると、低ナトリウム血症による入院が約14%増加する可能性があるとする研究結果を、カロリンスカ研究所(スウェーデン)のBuster Mannheimer氏らが報告した。詳細は、「The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism」に2月22日掲載された。”(Care Net 2022/04/26配信)

ナトリウムは、血圧を正常に保ち、神経と筋肉の機能をサポートし、細胞内外の体液のバランスを調節する上で必要である。血液中のナトリウム濃度が著しく低下すると、吐気、めまい、筋肉のけいれん、発作、さらには昏睡が生じることがある。

地球温暖化で熱中症になり汗を一杯かいて水をガンガン飲んで・・・塩分が体外に出ていくときにナトリウムが一緒に出ていってしまうことで低ナトリウム血症になってしまうわけですが、基本的に体内のホメオスターシス機能が働いてそう簡単には低ナトリウム血症は起きないはずなのです。でも、さすがにこの尋常ではない高気温に加えて、特に高齢者はマジメに塩分制限をし、マジメにエアコンを避けるようにする傾向があるので、かなり心配です。高血圧症や心臓病の治療に減塩は必須ですし、塩分1日5グラム以下なんて指標でがんばると現代社会では簡単に低ナトリウム血症に落ち込んでいきそうな危険性があります。かといってもともと塩分好きの方々に大義名分を与えてしまうと勘なしに塩分摂って心不全とかになって返って救急搬送されそうな心配も・・・中庸を知らない日本人への指導は、本当にむずかしい。
 

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で、カボスはどうなの?

Ca拮抗薬とグレープフルーツ【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q12

カルシウム拮抗剤という種類の降圧剤はグレープフルーツで効果が強く出すぎる(グレープフルーツに微量に含まれる「フラノクマリン」という物質が、薬を分解する小腸の酵素の働きを阻害して代謝を遅くする)ため、「この薬を飲む人はグレープフルーツは飲んではいけない」と指導されます。うちは夫婦ともにアムロジピンというカルシウム拮抗剤を服用しているため、グレープフルーツ大好きだった妻も全く飲まなくなりました。

遠い昔、わたしが循環器内科医になって初めてグレープフルーツとカルシウム拮抗剤の関係を聞いた頃(研修医を卒業して直後くらい)はわたしの周りにグレープフルーツなんて洒落たものを食べる人なんてほとんど存在しなかった(わたしはブドウの一種かと思っていました)から全く実感は湧きませんでした。そんな中で、「普通のみかんとかオレンジとか、グレープフルーツ以外の柑橘系はどうなの?」という疑問を抱きながらも、全く言及されることがなかったからいまだにグレープフルーツだけが悪いんだなと思っていました。でも、これを読むとどうもそうではないみたい。

・柑橘類がCYP3A4酵素を阻害して薬物動態に影響を与える原因物質はFuranocoumarin(フラノクマリン)類である。そして、どの柑橘類にもフラノクマリンが含まれる。果汁より皮に5~100倍ほど多く含まれるため柑橘類の”皮”が問題である。グレープフルーツが取り沙汰されたのは、昔、皮ごとミキサーにかけてグレープフルーツジュースが作られていたためなのだとか。
・どうも温州ミカンとデコポンからは果汁、皮ともに検出されないから、これだけは無条件に合格。もっとも、これらは明らかに季節性の特産物ですし価格もそれなりなのでそう多くは食べません。

要するに、柑橘類は大なり小なりカルシウム拮抗剤の効果に影響を与える。皮を剥いて実だけ食べる柑橘類は影響が少なそう。で、「スダチは果汁に含まれないが、皮にはわずかに含まれる」というのですが、じゃ、かぼすはどうなの?となる。大分県民と大分県出身者(わたし)は何でもかんでもかぼすをかけます。果汁もかけますが、皮を削って味噌汁に入れたりするのは普通です。これグレープフルーツよりはるかに影響が大きいのではないのか?と気になります。でも、よく考えたら、”グレープフルーツ禁忌”は薬の効果を増強するためなわけで、それだったらカルシウム拮抗剤服用している人はコンスタントに柑橘類(特に皮)を一緒に摂った方が降圧効果が得られ易い(あるいは薬の量を減らせる)とも考えられるんじゃないのかしら。わたしは最近ちょっと血圧コントロールが不良だから、もっと積極的にかぼすの皮を食うべきなんじゃないのかしら・・・違う?

 

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同級生?

昨日の月曜日。いつものように日帰りドック受診者の結果説明をしていました。

初老の男性。生年月日を見ればわたしと同い年。普通に結果説明をして、「なかなか生活変容のモチベーションが続かないですよね」という話をして、最後に唯一精密検査項目があることを説明。
「やっぱり、受診した方がいいですか」と彼。
「わたしたちの歳は妙齢だから、こういう項目はきちんと調べた方がいいと思いますよ。わたしの同級生もこの項目でがんになって亡くなった人が居たし、それを聞いて友人も検査受けて早期がんをみつけたりしたし・・・」
「分りました。受けましょう」

「ところで、ジャイさんは、わたしの高校の同級生ですよね」・・・終わって立ち上がるときに徐ろに彼が云いました。
「あ、やっぱりそうでしょ! 名前見て『あれ、この名前知っているぞ』と思ったんですよ。でも、ここは熊本だし(わたしの出身高校は県外)、マスクしているから顔全体が分らなかったから、自信なかったんですよ」
「大学出てから熊本に就職してそれからずっと熊本なんです」
「あぁ。そういうことなんですね」

思いがけない再会でした。わたしが個人情報で口にした同級生たちもすべて彼の同級生。もしや、この話をしたから彼もわたしが同級生だという確信を持ったのかしら。彼の精密検査が問題ないといいなと思います。

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夜コメめし

「やっぱり。夜は茶碗でコメめし食てえなぁ」

わが家は長いこと、夕飯にコメは食いません。夜に炭水化物を避けるようにするとダイエットに良い、糖尿病や脂質異常などの治療に有効だと云われ、世の中では「わたしは夜はメシを食いません」と自慢げに話す人も多い今日この頃です。「なのに、どうして痩せないんですかね」って?そりゃあんた、コメ食ってないことを免罪符にしておかずを鱈腹食ってるからに決まっとるやないね、と内心突っ込みを入れています。妻もご多分に漏れず、かなり前から夕食のコメめしを食いません。たまに食べると「やっぱりだ、昨夜ごはん食べたからてきめんに今朝は体重が増えたわ」と朝から体重計に載った妻はグチをこぼすのであります。以前はわたしだけ食っていましたが、さほどのこだわりもないのでわたしも食べなくなり、今ではヨシケイのメニューが丼物の時以外は夜にコメを炊くことはありません。コメめしを否定しているのではありません。妻は必ず朝か昼かには白飯食いますし、朝を食わないわたしも昼のお弁当(妻が作ってくれる)には白飯たっぷり入れてくれています。

そんなわが家なのですが、最近わたし個人としては「夜にコメめし食った方が体調良いんじゃないかな」と感じるようになってきました。たぶん、茶碗一杯の白飯が食事のリズムを作る・・・きちんとした食事の区切りができるからではないかと感じています。食卓にいろいろおかずがあっていつまででも摘まめるような総菜を並べてくれるものだから、ついついいつまでも箸を出していつまでも飲んだりしてしまう。コメめしがあったら、それの終りが食事のオワリと自分の気持ちの区切りを作れるかもしれない気がします。やはり、子どもの頃から長い間培ってきた習慣がカラダに染みついているのかもしれません。

でも、だから「明日から夕飯炊いて」と言い出せないわたし。だって1合で茶碗2杯分なのです。「簡単に云うけどね、じゃあ残りをどうするつもり?」と苛立った顔の妻が云うに違いない気がするのであります。
 

 

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無駄な休み?

「働き方改革のために有給休暇を取らなければならない」「土曜日に働いた分は振替休日で代替する」ということで、わたしはしっかり割り切って月に2回お休みを取ることにしています。むかしはちょっと罪の意識もあったし、心臓に関する検査の評価は私しかできなかったからなかなか休めなかったけれど、今は代わりをしてくれるスタッフもしっかりいるので、堂々と休むことができます。

で、せっかく他人がきちんと働いている日に休むのだから有意義に使うべきだと思って、ゴルフをしたり夫婦で買いものに出たり掃除をしたりワンを病院に連れて行ったりと朝から忙しくスケジュールを組んでいたのだけれど、最近は何もしない日も少なくありません。昨日のように、ゴルフの予定だったけれど「雨になるからキャンセル」というパターンも妙に多いし、「その日はわたしは予定ができたから家には居ないよ」と突然妻に突き放されることもあります。

せっかく休みを取ったのに何もしないのなら無駄な休みになるから、それなら休む予定自体を返上して勤務しようかなと思って実際にそうしたこともあるのだけれど、休む予定で業務スケジュール管理をしてもらったものを「オレ働けるから、働いても良いよ」とか簡単には云えないです。「代わりの先生に頭を下げて頼んだりしているのだから、それならもっと早く云ってよ!」と怒られそうだから・・・こうなると、行き場のないわたしは独り惨めなだけじゃ、とイジケそう。

おかげさまで、何もしないでボーッと過ごす平日の休みを「無駄な休日」と思わなくなった今日この頃。むしろ、平日に何もしないでボーッとして給料もらえるなんてありがたいこと極まりないと受け止めております。ただただ心配なのは、もうすぐ「毎日が日曜日」になったときに毎日何もしないでボーッとして過ごすことができるだろうか?ということですかね。でも、それはそうなったときに考えましょう。今は、ありがたき休日を堪能することにしましょう。

 

 

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『確率論』・・・ウィズ生活習慣病(3)

今年度も定期の執筆依頼をいただいた機関誌のコラムの4月号が発行されました。『ウイズ生活習慣病』シリーズの3つめです。一応、4つめで完にしようと思っています。徐々にマニアックな内容になってきている感が否めないので、そろそろ潮時かな、と(でも最終回の予定は来年1月号掲載のつもりですが)

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『確率論』・・・ウィズ生活習慣病(3)

「LDL(悪玉)コレステロールの値を薬でしっかり下げても、狭心症や脳卒中の予防効果は得られなかった」という研究結果が一昨年発表されました。LDLコレステロールは細胞やホルモンを作る上でなくてはならないものですが、多すぎると酸化して動脈硬化を引き起こすきっかけになります。だから、心筋梗塞や脳梗塞を起こした人、あるいは高血圧や糖尿病の治療を受けている人のLDLコレステロールの管理はとても重要です。でも単にLDLコレステロール値が高いだけの人に薬は本当に要るのか・・・LDLコレステロールは食生活が乱れると増えますが、乱れてもいないのに高い人や節制しても値が変化しない人に薬を処方すべきか?という議論は専門家の間でもいまだに結論が出ていません。

人類を存続させるためには多種多様な体質の存在が必要ですから、動脈硬化を起こすはずの高LDLコレステロール血症の人の中に何も起こさない人が一定数いてもおかしくありません。女性は閉経以降に急にLDLコレステロールの値が上がりますが、これだけ平均寿命が伸びて久しいのにその傾向が変わらないのは、高LDLコレステロール血症であることが生きていく上で不利ではない(むしろ有利な)人が少なからず居るからでしょう。くだんの研究で「治療に明確な有効性が見いだせなかった」のは、薬でLDLコレステロール値を下げるべき人たちと無理に下げる必要のない人たちとが混在して、統計処理する時に効果を打ち消しあった可能性がないとは言えません。

私たちは統計学という大きな荒波に翻弄されています。多様な体質がある中で、単純にひとつの検査値を基準にして「上げるべきか下げるべきか」の結論を出そうとします。特に予防医学は、した方がいいのか無意味なのかは統計学に頼るしかなく、集団で検討したら「有効だった」「有効でなかった」の形で発表されます。一番怖いのは、その結果だけを見て今まで処方されていた薬を勝手に止めたり、必死に取り組んでいたことを突然止めたりする人が出てくることです。本来なら自分はどっちのタイプかを見極めて各々に合った対処法を選ぶのが一番ですが残念ながらまだその術がなく、自分の身体を実験台にして一生かけて白黒つけるしかありません。学問はあくまでも経験則です。医学のメカニズムはこれまでの歴史の中でできた理論。社会環境も生活のスタイルも変わっていく中で、今までの理論が通用するかどうかはまだ経験がないのでわからない、というのが本音です。となると、とりあえず確率の高い対処法が無難だということになるのはやむを得ないのかもしれません。

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朝タンパク

タンパク質で筋力維持、朝食に何を食べるのがベスト?

朝食でのタンパク質摂取量は、筋力を維持するために重要であることが示唆されているが、朝食で取るタンパク質の『質』による影響は不明なままである。そこで、国立長寿医療研究センター研究所フレイル研究部の木下 かほり氏、老化疫学研究部の大塚 礼氏らは、朝食時のタンパク質の質と筋力低下の発生率の関連について縦断的研究を行った。その結果、タンパク質の摂取量とは独立して、朝食のタンパク質の質が高いほど高齢者の筋力低下抑制に関連していることが示唆された。この結果はJournal of the American Medical Directors Association誌2022年1月7日号オンライン版に掲載された。”(Care Net 2022/04/13配信)

もはや”朝タンパク”は常識。”夜食うタンパク質を朝飯に回せ”も常識。朝タンパクが少ないとエネルギー源を筋肉からえぐり取って、動いても筋肉瘦せしてフレイルに落ち込んでいく危険性があるからですが、そのタンパク源について、質の高さが大事だというわけです。

朝食のタンパク質の質については、3日間の食事記録から計算したタンパク質消化性補正アミノ酸スコア(PDCAAS)を用いて評価を行った。PDCAASはスコアが高いほどタンパク質の質が高いことを示す。
朝食の食品群を比較すると、朝食PDCAASが高いグループほど、豆類、魚介類、牛乳・乳製品、卵を多く摂取しており、低いグループほど砂糖・甘味料、油脂類を多く摂取していた。
昼食、夕食、1日の総摂取量においてもPDCAASを解析したが、朝食のみが有意な関連を示した。

ちょっと、これ読んでもタンパクの質のことがよくわからなかったんですけど、砂糖・甘味料・油脂はそもそもタンパク質じゃないのだし、「質の悪いタンパク質」というのがどういうものなのか知りたかった気はします。赤身肉とか加工肉(ハム、ソーセージなど)や鶏肉とかでしょうか(いや、鶏肉ってことはないか)。

 

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食物アレルギーのこと

バナナが食べられないのはゴム手袋が原因かも

食物アレルギーは、食物以外の様々な抗原への感作でも発症する。天然ゴムに含まれるラテックスにアレルギーを有する患者がバナナやアボカドなどを経口摂取して生じるラテックス-フルーツ症候群や、ペットが原因で生じる豚肉や牛肉へのアレルギー、鳥飼育が原因で生じる卵アレルギー、クラゲに刺されることが多いサーファーなどが発症する納豆アレルギーなどだ。特に、小児期以降に発症した食物アレルギーでは、原因物質が思わぬところに潜んでいる可能性がある。”(日経メディカル2022/04/19)

わたしの妻の食物アレルギーはどんどん激しくなっています。若い頃はエビイカカニなどの甲殻類アレルギーだけだったのに貝類もだめになり、そして卵。それも白身や火を通す通さないなどの区別を経て、今では食品の一部に少しでも卵が入っているだけでてきめんに激しい下痢を始めます。そのために外食もほとんどむずかしく市販のお菓子類でも裏面に<一部で卵>の文字が入っている時点でNG・・・本当に食べられるものが限られてしまいました。

●ラテックス-フルーツ症候群:ゴム手袋→バナナ・キウイなど
●花粉-食物アレルギー症候群(PFAS):白樺やヒノキの花粉→リンゴや大豆など
●pork-cat症候群:ネコアレルギー→豚肉や牛肉
●bird-egg症候群:鳥飼育→卵(特に卵黄)
●マダニ咬傷による経皮感作→牛豚馬羊鹿肉

卵アレルギーのことが書かれていたから興味持って読みましたが、わが家は鳥飼育はしてませんね。でも、家には小鳥たちが勝手に巣を作って久しいし去年からはツバメも子育てをうちでするようになったのだけれど、これは関係あるのかしら? ちなみに、妻は家の中にバナナが存在するだけ(かすかなバナナのにおいがするだけ)で嘔気を催します。が、これは医療用手袋の影響ではないと思います。
 

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「肥満症診療ガイドライン2022」

今年の夏に「肥満症診療ガイドライン2022」が日本肥満学会から発行されるらしい。

前回の発行は2016年だったから6年ぶりの改訂なのだそうです。”日本肥満学会による本診療ガイドラインの特徴は、BMIで規定される「肥満」から、肥満に起因ないし関連する健康障害を合併し医学的に減量を必要とする「肥満症」を抽出し、それに対して適切な医学的介入を行うとしている点だ。さらに、メタボリックシンドロームと関連する内臓脂肪の過剰蓄積によって生じる病態を重視している。”(日経メディカル2022.4.4)

第1章「肥満症治療の目標と日本肥満学会が目指すもの」
第2章「肥満の判定と肥満症の診断基準」
第3章「メタボリックシンドローム」
第4章「肥満、肥満症の疫学」
第5章「肥満症の治療と管理」
第6章「高度肥満症」
第7章「小児の肥満と肥満症」
第8章「高齢者の肥満と肥満症」
第9章「肥満症に合併する疾患の疫学・成因・予防・治療」
第10章「肥満・肥満症予防の実際と戦略」
第11章「肥満症治療薬の適応及び評価基準」

外科治療や内服治療などの概念が詳しく加わり、子どもや高齢者の肥満に対する扱いが別々に新設されたとして、結局は遺伝因子に関わる肥満症以外はあくまでも生活習慣なわけで、予防の概念から(特に子どもの頃の食育から)ガッツリ仕込まなければならず、子どもに最初から教育すると上手くいくのだけれど、それを教育する親がすでに肥満・肥満症だから一筋縄ではいかないのですよ。親にとっての肥満に対する治療は、今あるモノを削り落とすためにいろいろな楽しみを捨てていく作業なわけで、絶対的に楽しくないのですもの。最初から知らなければどうということはないのだから、それを子どもに教えない良い方法はないのかしら。やっぱり、禁煙指導と同様、学校教育にゆだねるしかないのかもしれませんね。あとは0次予防・・・社会環境が肥満にさせない構造になっていて、そこにいるだけで太らないしくみ、とか。だれか真剣に考えてくれないモノかしら。
 

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咬み合わせと高血圧

奥歯の噛み合わせが悪い高齢者は、高血圧リスクが1.7倍に上昇

 ”奥歯の噛み合わせが悪く、食品を噛み砕く能力が低下している高齢者は、高血圧のリスクが1.7倍に上昇することが、兵庫医科大学などの調査で明らかになった。研究は、高齢者での高血圧と口腔機能との関連を食習慣から明らかにしたもの。「口の働きを良い状態に保つことが、高血圧に対しての予防的な役割をになっている可能性があります」と、研究者は述べている。”(保健指導リソースガイド2022年04月04日配信号)

兵庫医科大学、新潟大学、丹波篠山市の共同で兵庫県丹波篠山圏域在住高齢者を対象におこなっているコホート研修の結果なのだそうです。高血圧症治療中で最近若干コントロールが不良になってきているわたしは、こういう情報はとても気になるところ。でも、どうして咬み合わせが悪いと高血圧になるのか、そのメカニズムが今ひとつ理解できません。だから、「奥歯でよく噛むようにしたら高血圧は改善する」と云わしめる根拠もよくわからなかったのがちょっと残念です。「良く噛めないと噛まなくても済むような柔らかいものばかり食って、食物線維が少なめになることや味の濃いモノが多くなるのが原因」とするなら、食滅繊維をしっかり摂っているわたしにはあまり参考にならないことになります。

もっとも、「咬み合わせの悪い人は高血圧になりやすい」と云っているのであって、「高血圧の人は咬み合わせが悪くなりやすい」と云っているわけではありませんし、「高血圧の人は咬み合わせが悪い人が多い」と云っているのでもありません。となると、わたしはどうしたらいいのでしょう。歯医者さんで噛み合わせを確認してもらうべきなのかしら。

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外からの刺激

春になって、穏やかな日差しの中で若い草木が風に揺れる風景を眺めても、ちっと浮き立つ気持ちになれない自分に気づき、「やばいな、またコロナ禍前に襲っていたうつの嵐がやってきそうな雰囲気だな」と感じている今日この頃です。

まあ、年度末にも年度初めにも自分にとっての何のイベントもないし、家族が減る可能性はあっても増える可能性が全くないわが家としては明るいイベントの予定も全くない中で、ロシア・ウクライナ情勢やCOVID-19の居座りなどの社会情勢も加わると、考えることはジリ貧必至の将来不安ばかりなのだから、それもやむを得ないとは思います。

そんな中、ふとポケットからスマホを取り出して弄ろうとして、止めました。そうそう、最近バッテリー消耗が早くなってきていよいよスマホの買い換え時のようだと悟り、ショップに予約したところだから、替えるまでは極力無用なスマホ弄りをしないようにしようと決めたのでした。で、スマホを弄らなくなって、スマホのありがたさがよくわかりました。手持ちぶさたの空白を埋めてくれる大事なアイテム・・・これを弄って、何らかの外からの刺激が入ってきている間は要らんことを考えたりしないものですから。スマホを触る余裕すらないほど忙しいとそれはそれで気が紛れるのですが、今の時期は公私ともに暇な時間が多すぎて、それでなくても時間を持て余すんですよね。

スマホを通しての外部からの刺激、高齢者にはとても大切なことだと痛感しております。早く5Gになって刺激三昧の世界に浸るようにしなければ。

 

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新しいか古いか

私の外勤先のスタッフの方が、「○○通りにある●●整形外科ってもうかなり古いですよね」と聞いてきました。
「え、そうでもないんじゃないの。●●整形外科は、その前は△△内科クリニックだったんだけど、たしか私たち夫婦が東京から帰ったときにはまだ△△内科クリニックだった気がしますよ。」「そうですか。でも私はかなり前から知ってる気がします。10年以上前からあるでしょ」「そうねぇ、10年よりは長いかな。でも、15年は経ってないと思いますよ」

ということで、お互いの認識が一致しましたが、10年前は古いのか新しいのか、そのレベルで認識の違いが出ました。「平成のものはまだ新しいでしょ」と云ったら「もう平成になってから30年以上ですよ」と・・・たしかに(でも、こっそり検索したら●●整形外科の開業は2013年・・・まだ10年経っていませんでした。記憶ってそんなものなのですね)。「10年ひと昔」と云いますけど、たとえばそれが東日本大震災の前だったか後だったか、熊本地震の前だったか後だったか、そんな記憶の引き出しをまさぐってやっと思い出せるものかもしれません。もっとも、阪神淡路大震災の辺りになると、その前か後かもあまりはっきりしなくなります。私の自宅の水道の蛇口は上に上げて閉めるタイプですから、自宅は阪神淡路大震災の前に建てたとことがわかります(あの大震災以降、水道の蛇口は下向きに下ろすと止まるタイプに変わりましたから)が、もはやあの頃のことは遠い昔、歴史のページに吸い込まれていきそうです。

こうやって記憶は風化していくのですね。今日は熊本地震(前震)から満6年目の節目です。あの時に目に焼き付いた地獄絵図の光景ですら、遠い昔の夢の中の出来事のように霧がかかろうとしてきています。

 

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人工甘味料とがん

人工甘味料とがんリスクの関連は?

砂糖の過剰摂取による健康リスクが明らかになった近年、世界保健機関(WHO)では1日当たりの糖類摂取量を総エネルギー摂取量の10%未満とするよう推奨している。それに伴い、食品・飲料業界は代替品として、アスパルテームやアセスルファムK、スクラロースなどの人工甘味料を使用するようになった。しかし、それら人工甘味料においても健康リスクが報告されているにもかかわらず、十分な検討が行われていないとして、フランス・University of ParisのCharlotte Debras氏らは同国の10万人超の一般住民データを用いて人工甘味料とがんリスクとの関連を検討。結果を、PLoS Med(2022; 19: e1003950)に報告した。”(Medical Tribune 2022年04月05日配信)

もう、このことが問題になってから15年以上経っているのではないかと思います。ここでもアスパルテームの話は書いた記憶があります。こういうものがなかなか消費者まで波及しないのは、企業が絡む”大人の事情”かあるいはそれを犠牲にしても砂糖の消費を減らさなければならない医療事情か。

結局、”「大規模集団を対象としたコホート研究により、人工甘味料の中でも特にアスパルテームおよびアセスルファムKとがん発症リスクとの関連が示唆された」”(いずれも10%超のがんリスク上昇)という結論が発せられましたが・・・私が昔聞いた結果となんら変わりません。企業というものは、こういうデータをもとに、たとえばトランス脂肪酸などの場合のように、もう少し陰でものすごく企業努力して世間が知らない間にこっそりがんリスクを下げる物質を開発してしまうものじゃないのかいな!
 

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長い昼寝は禁物

高齢者の長時間の昼寝が認知症と関連

 ”高齢者では昼寝習慣を持つ人が少なくないが、長期的な認知機能との関連は明らかでない。米・Brigham and Women's HospitalのPeng Li氏らは、高齢者の昼寝が将来のアルツハイマー型認知症(AD)の発症に及ぼす影響について検討。高齢者では長時間や高頻度の昼寝がAD発症と有意に関連するとの結果を、Alzheimers Dement(2022年3月17日オンライン版)に報告した。”(Medical Tribune2022年03月30日配信)

「長い昼寝を何度も繰り返すとアルツハイマー型認知症になりやすい」というのか、「アルツハイマー型認知症を発症する人は長時間・頻回の昼寝をする人が多い」というのかがちょっとわからない(「長い昼寝をしないように声かけをこまめにしていたらアルツハイマー型認知症になりにくい」ということなのか、「長時間昼寝の有無はアルツハイマー型認知症の早期発見に役立つ」ということなのか)けど、この差は意外に大きいですからね。

満13歳を超えたうちの老犬が1年前くらいから急に昼寝することが増えてしまって、隙あらばすぐに大きな鼾をかきながら居眠りするようになりました。今はもうすぐ満1歳の幼犬が時々ちょっかい出して起こすのでまだ刺激になっているようですが、耳も聞こえず目も見えにくくなって外界からの刺激が減れば自ずと寝てしまうものなのでしょうか。だから、呆けないように昼は起こしておくことはアンチエイジングのためには重要なのかもしれません。

わたしもヒマだからと云って転た寝ばかりしていてはいけないな! 眠くなったら意図的に歩き回るようにしなければ。

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高齢者の生活指導

優先すべきは運動指導か、栄養指導か?

 ”超高齢化が進む中、地方自治体における独自のフレイル・サルコペニア対策が注目されている。2021年度時点で高齢化率38%の埼玉県秩父郡皆野町では、2020年度から体成分分析装置(InBody)を用いて筋肉量を測定している。皆野町役場健康こども課の梅津順子氏は、2020年度後期高齢者健診におけるサルコペニア判定の結果を、第8回日本慢性疾患重症化予防学会(2月13日ウェブ開催)で報告した。筋肉量と筋力に着目して高齢者の転倒リスクを評価したところ、筋肉量は少ないが筋力は十分にある群と、筋肉量は十分だが筋力が大幅に低下している群に分けられ、それぞれに適した指導が必要であると発表した。”(Medical Tribune 2022年03月30日配信)

健診でInBodyを使ってサルコペニアを分析したら、『筋肉量は少ないが筋力は十分にある』群と『筋肉量は十分だが筋力が大幅に低下している』群に分けられた、というのに驚きました。結局筋肉量はあるのに筋力が低下しているのは肥満や糖尿病の人たちで、転倒リスクが伴うから積極的に運動指導を行うべきで、一方筋力はあるが筋肉量が少ない人たちには高タンパク食を中心とした食事指導を中心に行うべきだろう、との提案です。筋力の有無は閉眼片足立ちで評価できるので普通の健診やドックでもやれますが、人間ドックならまだしもさすがに普通の健診受診者全員にInBodyの筋肉量測定を行うことはできないでしょうから、代用のできる簡単なメソッドを提案してもらえるといいかなと思います。まあ今の世の中、スポーツジムだけでなく、薬局や電器屋で勝手に筋肉量や体脂肪率は無料測定させてもらえるところがいっぱいあるから、試しにこっそり測定してもらうと良いのではないかという気はしますけど。

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XE系統

先日、知人が「コロナ陽性になった」とインスタで報告してました。これだけ長期間の感染の波の中で初めての身近な人の感染です。それにしても発熱する時には本当にみるみる上がっていくのですね。経時的に体温計の表示をアップしていたので、見ていてちょっと恐ろしくなりました。

世間ではステルスオミクロンBA-2というのがオリジナルオミクロンBA-1と急速に入れ替わっている中で、イギリスから新しい変異株XE系統というのが発見されたと騒ぎ始められています。増殖力がBA-2より強いのだとか。まだまだ戦いは続くんでしょうかね。でも、冷静に考えたら昨年末から主流になったオミクロンがどうも最終形のように思えます。そもそもの原型のαとかβとかが懐かしい。そして最終形の亜型雑種多数発見・・・これは科学や医療が発達してしまった弊害かもしれません。だって、昔の検査技術だったらオミクロンはオミクロン以上には分ける力がなかったはずだから。ウイルスが小さな変異をして生き残ろうとするのは太古からの歴史です。決してインフルより軽くはないけれどインフルより怖いものでもなくなろうとしています。そうです。それくらい、インフルは怖いウイルスなのだということも忘れないようにしなければなりません。

『○○系統』って、まるで熊本市内の路面電車の経路図みたい。『XE』とかどこぞのパソコン関連の商品みたい。

それはそうとして、私たち医療者は何のかんの言って、かなり手指消毒って徹底されていますね。実感なく、むしろ最近ズボラになっているのでは?と懸念していましたけど、それでも世間の皆さんの姿を見ていると、無意識のうちに標準予防策として段違いの入念さが身についていることを改めて痛感します。ありがたいことです。

 

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本の縁

今回、たまたま見かけたSNS情報で2冊の本を買いました。最近は、若いころの様にふらっと書店に寄って、何となく何冊かの本を買って帰るなんてことはほとんどありません。

巷には数え切れないほどの書籍があります。もちろん今時だから電子書籍になっているものが増えたとはいえ、どちらにしてもその数は計り知れず。そんな数多の”星の数ほどある”本の中で、一冊の本に出会うなんてことは本当に”ご縁”というか”出会い頭事故”というか。

以前は、新聞に紹介された本とか、テレビで紹介された本とかを買っていましたが、最近はほとんどがSNS情報。たまたま見つけた情報で面白そうだからAmazonで購入してみるわけですが・・・以前にも増して”つん読”が増えていく一方です。老眼が酷くなってメガネしても字を読むのが疲れるようになった昨今では、今回のように一気に2冊を読み上げるなんて、奇蹟中の奇蹟です。それでも、ご縁の中のさらなるご縁で読み上げたこの2冊の本に出会えた幸運に感謝しましょう。時間のあるうちに他の本にも手を出すか・・・。

一方でわが家の書棚に並ぶたくさんの本、職場の書棚に並ぶたくさんの本。6年前の熊本地震で散乱した本を整理するときにかなり処分したとはいえ、まだまだたくさん。終活を考える度に、「まずはこの本から処分したい、端から順番にもう一度読んで、読んだ端から処分したらいいかな」とか思うのだけれど、新しく買った本ですら大多数読み終えていないのに、一回読んだ本に手を出すのははてさていつになりますことやら。

 

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かぞくかいぎ

カーリングのロコ・ソラーレの吉田選手がインスタで紹介した本はもう一冊ありました。

子どもから話したくなる「かぞくかいぎ」の秘密』(玉居子泰子、白夜書房)

”けんかをしても、
すれ違いがあっても、
反抗期が訪れても、
恐れることはない。
また話せばいいと思える
ようになりました。(本文より)”

帯に書かれたこのコトバ通り、「家族で会議を開く」という行動のなんたるかを事例を用いてわかりやすく紹介してくれています。「腹を割って思っていることを話す」という行為が一番むずかしいのが家族。はずかしいというか、何を今さらというか、あるいは「どうせ話しても・・・」「話さなくても分かっているはず」「話して何か意味ある?」と思うのが家族なのであります。日頃から何でも話しているよ、と思っている人でもそれが家族全員かというとそうではないでしょう。「お母さんとは話すけどお父さんは苦手」とか。ぜひ、特に子育て世代の方は一度読んで、子どもさんが小さいうちから『かぞくかいぎ』を開く習慣をつけておくときっとすばらしい大人に成長するのだろうな、と感じました。

残念ながら、わが家には子どもがいません。「夫婦2人でも『かぞくかいぎ』はできるよ」と云われそうですが、やはり『かぞくかいぎ』のミソは中に”子ども”が居ることだと思います。「子どもが何考えているかわからない」から始まって家族全員で話し合っているといつの間にか夫婦の間でも会話が当たり前になってくる、という流れは自然です。「ねえ、今から二人で家族会議をしよう」はハードルが高すぎる。もう30年以上も一緒に居ると、「何考えてるんだか」と思うことはたくさんあるけれど、「ま、いいや」と思う。それが処世術。あなたはわたしが何か云うと「なんでそんな云い方するの?もっと優しい表現があるでしょ!」と怒るけれど、あなたがわたしに云うときはそれよりもはるかにトゲのある云い方してるんだよ!・・・以前は口げんかしたものだが、「わたしのは全然違うよ。思いやりよ」と聞き流されると一層ムカッとして、「これは云っても無駄だ」と思うようになる。仲の良い友人に第三者の意見を聞こうとしても、「夫婦の問題をこっちに振らないでよ」と逃げられる。

こういうことが、中に子どもが居て、子どもの忌憚のない感想の中で『かぞくかいぎ』すると、きっとお互いに「そうね」となるのだろうな、と思いました。それが我が子、『子は鎹(かすがい)』の真骨頂なのでしょうね。

あらためて、この本。小さな子どものいるお父さん、お母さん、今の時期だからこそ是非手にとって読んでみてください。

 

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ボクシング

「ボクシングってどうしてスポーツとして認められているのだろう?」 
「ボクシングってなんであるのだろう?」

ふっとそんな疑問が湧いてきました。妻はボクシング番組を決して観ません。「人を殴って破壊する野蛮な行為を見て興奮する意味がわからない」と吐き捨てます。それを聞いても今まで気にもしていなかったのに、先日ボクシングに青春をかけた若者の特集を見ていて急に妙な違和感が湧いてきたのです。

他人を殴って破壊して何かを奪うという行為は人間の欲望のなせる技なのだろうと思うし侵略の歴史の中で生きるか死ぬかの戦いをしてきたわけだから、野蛮だけれど、一応理解はしています。ボクシングで強くなるために自分の力を高めてがんばるのは本人の自由。でも、それを傍から見ていて「やれ!やれ!」と興奮する観客を容認するのはなぜだろう。そもそもこれは奴隷を使って見世物的に死ぬまで戦うのをみて興奮する富裕層の道楽から始まったものではないのか。ロシアとウクライナの戦いを傍から見て非難するのにボクシングのタイトル戦は良いという理屈は本当に正しいのだろうか?スポーツとして生き残るべき競技だったのだろうか。

だったら、他の格闘技はどうか? 空手や柔道やテコンドウなどはどうか? 興行的な要素の強い格闘技は別にして、他のスポーツはやはりボクシングとは異質な気がしてならないのですが・・・。

 

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『当事者研究』

子ども当事者研究 わたしの心の街にはおこるちゃんがいる』(コトノネ生活)という本をAmazonで買ったのは、カーリングのロコ・ソラーレの吉田 知那美選手のインスタをフォローしたのがきっかけでした。たまたま彼女のストーリーズに紹介されていたから。

子ども・子育て当事者研究ネットワーク ゆるふわ

 この本の中にまるで”当たり前のコトバ”として『当事者研究』というのがあるけれど、どこにもそのことに対する解説がない。読み始めてすぐにその余所者感、疎外感に苛まれて、本を半ばまで読んだところで『当事者研究』とはなんぞや?を検索する羽目になりました。

当事者研究とは-当事者研究の理念と構成- (向谷地生良)』(当事者研究ネットワーク)
「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 20132月号』(障害保険福祉研究情報システム)

精神科医になりたくて医者になり、統合失調や認知行動療法などの情報は適宜見てきていたつもりだったのに一度もわたしの前を通り過ぎたことのなかったコトバでした。それが遠い北の大地での活動だったから南国熊本まで届かなかったというわけではないでしょう。わが家に子どもがいなかったからというわけでもない。アンテナが低かっただけでしょう。だから、今更ながらこんな世界があることを知ることができたのはありがたいことです。ただ、これがまた微妙に奥深くて、付け刃でこの辺りの情報を読みあさっても結局は門外漢の余所者感。大人の当事者研究と子どもの当事者研究の”当事者”は同じ境遇のものとして繋がっているものなのかそれとも違うのか、この二つを繋いでいる『べてるの家』は精神障害者などの地域活動拠点だそうだけれど、『ゆるふわ』の立ち位置は決して特別な子どもたちの世界ではなさそう。特別じゃなくても参加できる世界なのだろうか?『家族の「当事者研究」』という記事を見つけました。これを見る限り、当事者もその家族も決して特別な人たちではなさそうです。

おそらく、そもそもの始まりは心の闇を抱えて戦っている統合失調の当事者が自分を研究してもらうという発想から始まった”当事者研究”が全国に広がる中でもっと大きな括りの中で子育てに悩むお母さんやあるいは親に理解してもらえずに悶々とする子どもたちが当事者として研究することで自ら新たな発見をし、周りにわかってもらえるきっかけ作りに貢献できるようになりながらネットワークが広がっているのだろうと推測します。

「どうしたの?今から子どもを育てようと思ってるの? もしかしてどこか他に子どもを隠しているとか?」・・・送られてきた本をみつけて妻がそんな冗談を云いました。
 

 

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休みの日の朝

朝6時の目覚まし時計のアラーム。

仕事のある日は、苦もなく起きあがれる。粛々と朝のルーチンをこなして7時に出勤。いつも滞りなくこなすことができる。

ところが最近、休みの日には6時に起き上がれない。目覚ましのスヌーズ機能で5分毎に鳴るのを何度もやり過ごし、ワン達が騒ぐのでやむなく起き上がるのが6時半~7時。まあこの辺までならなんとかなるけれど、初めから目覚ましを切ってひとしきりのワン達の襲撃を無視して目覚めたら8時なんてことが最近多くなりました。

こうなると、もはやわたし的には昼起き。一日の半分が潰れた気分。その前に、起きてからいつもなら1時間でこなせるルーチンワーク(ゴミ出し、洗濯物干し、ワンのオシッコ処理&朝飯の準備、仏壇の水替えと焼香、洗顔など)をこなす気力が湧かなくなってしまう。この状態が一番凹みます。自分がめちゃくちゃ堕落してしまった気分。

仕事の日ならパシッと定刻で起きれるのに休みの日だと目が覚めているのに起き上がるのを拒否しようとする・・・そんな人間じゃなかったんだけどなぁ、わし。

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亜鉛

最近、妻に勧められて亜鉛を毎朝飲むようになりました。特別に偏った食生活なんかしてないぞと思うけど、「お酒を飲む人は不足しがちだ、って聞いたよ」と。

亜鉛と云えば『味覚障害』。味覚がなくなっている患者さんに会うと必ず「亜鉛不足かもしれないから亜鉛を多く摂ってみてください」と話していた記憶があります。もっとも、そうやって食材やサプリで亜鉛を飲んで「味覚障害が回復した」と云ってくれた人はほとんど経験しませんでした(先日、人間ドックで初めて内服薬を飲むと味覚が回復したという受診者さんに初めてお会いしました)が、舌にある味蕾細胞産生に亜鉛が必須だということは知っていました。その他、亜鉛の効能は、『免疫力獲得』『抗酸化作用』『認知機能の改善』『勃起力の回復』などなど、つまりはわたしの年令では”老化防止の効果”が期待できるということのようです(健康長寿ネット)。

過剰摂取しなければ飲んで損はないというので飲み始めて早2ヶ月ちょっと。正直なところその効果はよくわかりません。もともと味覚障害はないしコロナ対策の標準予防策だけでカゼも引かなくなってしまいました。たしかに最近心身ともに老化したのでどこか活力みなぎるようになるのを期待したけれど、ほぼ何も変わりません。こうなると、「お金が勿体ないから飲むのをやめようか」と思案するわけです。サントリーのセサミンEXももう長いこと飲み続けていますが、こっちも効果は実感してはいません。でも、サプリの厄介なことは、「飲んでいるから今の状態なのじゃないのか?」という懸念。「止めたら一気に萎れてしまうんじゃないか?」という不安に襲われることなのであります。「一回止めてみて、調子が落ちていくならまた再開したらいいんじゃないの?」と思わないわけではないけれど、「あなたが、いつまでも元気でいてほしいから買っているのよ」と妻に云われると・・・ま、とりあえずもうしばらく続けてみるか。

 

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『点ブロスマホ』

月曜日の朝のNHKニュースで『点ブロスマホ』ということばを初めて知りました。

”東京都盲.人福祉協会によりますと、すでに点字ブロック上で、視覚障がい者と歩きスマホの人がぶつかるケースが複数発生。中には杖が折られたり、転倒し、救急搬送される事案もあったということです。” 

歩きスマホする輩が、あろうことか点字ブロックの上を歩きながらスマホを弄っている、というのです。点字ブロックはまっすぐだし目立つのでスマホを弄りながらでも視界の中に認識できて便利だから、という感覚なのでしょう。でももちろん点字ブロックを利用するのは目の不自由な方ばかりですから、想定外に前からまっすぐに正面衝突すべき勢いで歩いてこられたらひとたまりもありますまい。恐ろしい時代になったものだと戦慄しました。

そもそも、自分が生まれた頃から点字ブロックが存在していた世代の人たちにとって、点字ブロックはさほど特殊なモノという認識がないのではないでしょうか。駅構内を歩いていても点字ブロックがあることさえ気づかなかったという人も少なくないようですし。おそらく、小学校低学年の頃に「点字ブロックは何のためにあるか」「歩くときにこれの上に絶対乗ってはいけない」などということをものすごく厳しく指導してもらっていない限り、今の現象は減ることはない気がします。よほどの死亡事故や損害賠償級のケガがあったとしても減らないでしょう。それを指導する小学校の教師や親たち自体が点字ブロックをさほど特殊なものだとは認識していないのでしょうから。

点字ブロックは目の不自由な人だけが使用できる小さくて重要な命綱の径・・・そのことをNHKの朝のさりげない特集で取り上げるだけではなく、是非教育現場や家庭で認識し直すきかっけにしてほしいと思いました。
 

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