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で、カボスはどうなの?

Ca拮抗薬とグレープフルーツ【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q12

カルシウム拮抗剤という種類の降圧剤はグレープフルーツで効果が強く出すぎる(グレープフルーツに微量に含まれる「フラノクマリン」という物質が、薬を分解する小腸の酵素の働きを阻害して代謝を遅くする)ため、「この薬を飲む人はグレープフルーツは飲んではいけない」と指導されます。うちは夫婦ともにアムロジピンというカルシウム拮抗剤を服用しているため、グレープフルーツ大好きだった妻も全く飲まなくなりました。

遠い昔、わたしが循環器内科医になって初めてグレープフルーツとカルシウム拮抗剤の関係を聞いた頃(研修医を卒業して直後くらい)はわたしの周りにグレープフルーツなんて洒落たものを食べる人なんてほとんど存在しなかった(わたしはブドウの一種かと思っていました)から全く実感は湧きませんでした。そんな中で、「普通のみかんとかオレンジとか、グレープフルーツ以外の柑橘系はどうなの?」という疑問を抱きながらも、全く言及されることがなかったからいまだにグレープフルーツだけが悪いんだなと思っていました。でも、これを読むとどうもそうではないみたい。

・柑橘類がCYP3A4酵素を阻害して薬物動態に影響を与える原因物質はFuranocoumarin(フラノクマリン)類である。そして、どの柑橘類にもフラノクマリンが含まれる。果汁より皮に5~100倍ほど多く含まれるため柑橘類の”皮”が問題である。グレープフルーツが取り沙汰されたのは、昔、皮ごとミキサーにかけてグレープフルーツジュースが作られていたためなのだとか。
・どうも温州ミカンとデコポンからは果汁、皮ともに検出されないから、これだけは無条件に合格。もっとも、これらは明らかに季節性の特産物ですし価格もそれなりなのでそう多くは食べません。

要するに、柑橘類は大なり小なりカルシウム拮抗剤の効果に影響を与える。皮を剥いて実だけ食べる柑橘類は影響が少なそう。で、「スダチは果汁に含まれないが、皮にはわずかに含まれる」というのですが、じゃ、かぼすはどうなの?となる。大分県民と大分県出身者(わたし)は何でもかんでもかぼすをかけます。果汁もかけますが、皮を削って味噌汁に入れたりするのは普通です。これグレープフルーツよりはるかに影響が大きいのではないのか?と気になります。でも、よく考えたら、”グレープフルーツ禁忌”は薬の効果を増強するためなわけで、それだったらカルシウム拮抗剤服用している人はコンスタントに柑橘類(特に皮)を一緒に摂った方が降圧効果が得られ易い(あるいは薬の量を減らせる)とも考えられるんじゃないのかしら。わたしは最近ちょっと血圧コントロールが不良だから、もっと積極的にかぼすの皮を食うべきなんじゃないのかしら・・・違う?

 

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