HDLは善玉にあらず?
<HDL-C 80mg/dL超でCAD患者の死亡リスク上昇>
”HDLコレステロール(HDL-C)高値が心血管疾患(CVD)リスクの低下に関連していることは広く知られているが、その一方でHDL-Cが高過ぎる人で死亡リスクが高いことが複数の観察研究で示されている。米・Emory University School of MedicineのChang Liu氏らは、英米のバイオバンク研究のデータを用いて冠動脈疾患(CAD)患者におけるHDL-C超高値(80mg/dL超)と死亡リスクの関連について検討。HDL-C値が中程度(40~60mg/dL)の群と比べて、低値(30mg/dL未満)群と超高値群のいずれにおいても全死亡および心血管死のリスクが上昇し、HDL-C値とこれらのアウトカムとの間にU字型の関連が認められたとする解析結果をJAMA Cardiol(2022年5月18日オンライン版)で報告した。”
通称”善玉コレステロール”のHDLコレステロールが高くなればなるほどCVDを軽減できるわけではない、という研究結果です。研究者は”「CAD患者の集団において、HDL-C値が正常範囲の人と比べて80mg/dL超の人では全死亡および心血管死のリスクが高いことが示された」と結論。その上で、「リスク予測に重大かつ意味のある臨床的影響を与える研究結果となった」と述べている。”となっていて、今後物議を醸し出しそうです。
でも、題名だけ見て勘違いしてはなりません。対象はあくまでも冠動脈疾患(CAD)と診断されている患者さんかされたことのある患者さんであって、まだ何も起きていない人ではありません。HDLコレステロール超高値が動脈硬化疾患を起こしやすいというデータは以前からありますが、大酒飲みか家族性疾患の人たちの集団だったはずです。しかも80mg/dlなんてそう大して超高値でもない気がします(わたしは90mg/dl)。今、何も問題がないし変なサプリを服用しているわけでもないのにHDLコレステロールが基準より高いからと云って、心配したり値を下げるために喫煙したりしても意味はありますまい。もちろん、HDLコレステロールの値を上げるためだけの目的で薬を服用しても無駄だということは云えるのかも知れませんが。
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