副次効果?(1)
先日作成したナイトガード(就寝時装着用マウスピース)の装着確認のために歯科受診をしてきました。
「2週間使ってみて、どうでしたか?」
「まあ、特に何も。」
この返事が不本意だったのか、陰でこの返事をオウム返しに復唱しながらちょっと苦笑いして申し送っていたのが聞こえました。それで、ずっと感じていた効果を話しました。
「実は、血圧が下がりました」
「え。血圧ですか?」
「はい。わたしは高血圧症のくすりをのんでいるのだけれど最近少しコントロール不良だったんです。それがこれを付け始めてすぐに下がり始めました」
「どれくらい?」
「20~30くらい」
「いくつからいくつに?」
「日頃150-160くらいだったものが130-120くらいに」
「へえ。でもそれは関係ないと思いますよ」
「そうですか。わたしは睡眠の質が良くなったからかなと思って喜んでいたんですけど」
「・・・なるほど」
ちょっと面倒くさそうに対応していた女性スタッフさん。そのまま申し送ったようで、直後に入ってきた院長先生が開口一番、
「睡眠が良くなったんですって? 良かったですねぇ」と云いながら、歯ぎしりの理屈やカテコラミン云々の理屈を説明してくれながら「わたしは、それはあながち関係あるかも知れないと思いまよ」と付け加えました。
彼らの反応はちょっと意外でした。自分の専門分野である血圧について、ナイトガードの提案が有った時点でわたしは「血圧がよくなるかもしれない」と期待して、思った通りに血圧が下がったことにもっと興味を持ってくれると思ったから。期待以上に下がったのは若干プラセボ効果があったかもしれませんし、それが夕方の血圧まで維持されていたのは意外でしたが、そもそも歯ぎしりしている人の夜中の血圧が上がっているなんて簡単に想像できますから、それが改善されれば当然血圧は落ち着くに決まってるじゃないか?と思うのです。ナイトガードしている人がそう頻繁に血圧測定しているわけじゃなく、下がったとしてもそれがナイトガードと関係あると思わないだけじゃないのか、と。
「でも、せっかく調子が良いのだからこのままナイトガードを続けてみてください。その”副次的効果”が続くといいですね」・・・院長はそう云って出ていきました。その後、女性スタッフさんが「ちゃんとおくすりは飲んでますよね」と念を押しました。あ、「そんな訳のわからない理屈で勝手に自己判断でくすりやめたりするなよ」って意味だな、と察しました。止めたりしませんよ。わたしの血管は石灰化が著しくて内服薬必須なんですから。ていうか、勝手に止めるもなにも、処方しているのはわたしなんだから止めるときは「勝手に」じゃないわ。「素人のじいさんが変なことを云い始めたよね」とわたしが帰った後でみんなで噂話するんだろうなと思うとちょっと癪に障るのだけれど、「今更ですけど、わたしは循環器内科医ですよ」と云ったら、きっと院長もスタッフもざわざわするだろうと思って黙って出てきました。なんか逆に、ちょっと可笑しくなってきたので。(つづく)
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