米飯の逆襲
”日本人男性では、米飯を多く摂取した方が心血管疾患による死亡リスクが有意に低いという研究結果が岐阜大学大学院医学系研究科疫学・予防医学の和田恵子氏らによって発表された。詳細は「Nutrients」に5月30日掲載された。”(HealthDay News 2022.7.19)
「オレは夜は飯は食わんようにしています」と胸を張って云う男性受診者さんが最近は頓に増えました。「代わりに酒飲むから」とか「おかずだけで十分だから」とか付け足されて、「ああ単なる低炭水化物ダイエットか」と合点するわけですが。そんな中、岐阜大学が岐阜県高山市の『高山スタディ』のデータを用いて検討した結果が発表されていました。
他の主食であるパンや麺と比較してみると、米飯を主食にする男性は米摂取量が多いほど心血管死リスクが低いという有意な関係が認められたそうで、これをBMI、喫煙・飲酒・運動習慣、糖尿病・高血圧の既往、婚姻状況、教育歴、コーヒー・塩分摂取量などで調整してもその結果は変わらなかったそうなのです。
そもそも米は理想食だし、米だけ食って普通に動いていれば必ずやせるというのはわたしの持論ではありますし、実際熊本地震の時に自分のカラダで体験しているので間違いないのですが、白米が食後高血糖を助長してメタボになりやすいとか、あるいは夕飯に米を食わなかっただけですぐにやせられたなどの情報から米が悪者にされている現状を由々しきことと感じていたところです。もっとも、この研究成果は単純に米に含まれている食物繊維やビタミンB6が良い影響を与えているということでなく、「米摂取量が、健康的な食品とされる大豆や海藻の摂取量と正相関していることの影響が考えられる」(米をいっぱい食べる人は豆製品と海藻も一緒にたくさん食べ、逆に肉と卵の摂取量とは負の相関だった)ということがミソのようですが、いいんです、とにかく米飯の良さが再認識されるきっかけになればそれで。
ちなみに、この傾向は女性には見られていません。それについて”男性は米摂取量と菓子摂取量が逆相関するのに対して女性では正相関することや、米や炭水化物の高摂取と糖尿病や脂質代謝異常との関連が女性は男性より大きく表れることなどの影響ではないか”と説明されていました。こうなると、女性は一層米飯食わなくなるな、という懸念はあります。そして、男性が一層メシをたくさん食って、単にカロリー過多でメタボになるのではないかとも懸念しますが。
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