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久山町スコア

2022年7月に『動脈硬化性疾患予防ガイドライン』が5年ぶりに改訂されたそうです(健康教室や住民説明会の講師を引き受けなくなって、わたしの健康情報に対するアンテナは低くなりました)。先日、Medical Tribuneで『動脈硬化性疾患予防GL改訂、5つの要とは?』という記事を読む機会がありましたが、押さえておくべきは、中性脂肪の随時採血基準値と『久山町スコア』でしょうか。講演会講師をしていた頃は、この記事に出てくるような(おそらく刊行された動脈硬化性疾患予防ガイドラインに載っているような)図や表を必死にスライドに起こして準備したので、いやでも詳細を覚えたものですが、今は興味本位な読み方だからちょっと本気度に欠けます。

脂質異常症診断基準に新たに中性脂肪値の項目を追加し、空腹時採血で150mg/dL以上、随時採血で175mg/dL以上を高中性脂肪血症とする診断基準値として設定しました。この値の根拠は”空腹時TG 150mg/dLは吹田研究の結果(J Atheroscler Thromb 2021; 28: 1275-1288)を、随時採血TG 175mg/dLは非空腹時のTGと冠動脈疾患発症リスクの関連について示した検討(Am J Epidemiol 2001; 153: 490-499)およびNIPPON DATA90(J Epidemiol 2022; 32: 303-313)を基にしている”らしいです。先日、メタボ健診の基準を変える案が出ていましたがこれもこのガイドライン改訂に準じたものだったのでしょう。ところで、高中性脂肪血症は今まで脂質異常症の診断基準に本当に入っていなかったんでしょうか? わたしの勘違いだったのかしら。

そして『久山町スコア』。久山町スタディの歴史は長いし世界的に定評のある疫学調査が基本にあり全ての動脈硬化系疾患の基準として存在しているものなのでそのことに何の異議もないのですが、たしか前回までは『吹田スコア』(吹田研究による詳細なスコア化)が使われていたと思います。あれが今回失格になった(却下された)理由は何なのでしょう? そのことがこの記事には触れられていないのですが、ガイドラインそのものには書かれているのかしら。そこにだけ興味があるから、どこかでガイドラインを手に入れてちょこっと読んでみたいものです。

 

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