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医学書

2016年の熊本地震で家の中の物が散々に散らされて、それを空しく拾い集めて整理したときに、わたしの学生時代から大事にしてきた医学関連の書物はすべて処分しました(捨てました)。学生時代や研修医時代に使った医学書は一生モノでそこに細かく書き加えたノート類は医者として最大の宝物だから大事にしなさい、と遠いむかしに上司や教授から云われたものですが、決してそんなことはないと分っています。それは現代社会の学問の進歩があまりに早くて”日進月歩”などという悠長な早さではないことを実感しているからです。わたしの持っている医学書に書かれている内容なんて、今は間違っていることも多いし、考え方がもっと多様になっているものも多いから、使い物になりません。専門外の知識を得ようと思えば、そんな古書を紐解くよりも最新版の医学情報をネットで検索する方が早いし確実、という時代。だからあのときに全て捨てました。

同様に、職場の自分の書棚に並ぶ書物。これを処分しようと思うわけですが、ここには小説ではなくて予防医療に関わる知識を得るためのハウツウ系の本だけが大量に並んでいます。これを古本屋に持って行けば売れることは売れるのでしょうが、その本を買う人がいるのでしょうか。『動脈硬化の発生機序』『腸内フローラ』『睡眠』『アンチエイジング』・・・わたしがこの本を買って勉強していた1015年前、これらの内容は最先端であり、一部は眉唾物と扱われていた時期で、それも含めて面白くて、読んで勉強してスライドを作って講演に使った・・・そんな本ですが、すでにどれも新しくはなく、今は誰もが知る常識になったもの、当時はまだ不明だったことが解明されたもの、それによって当時の常識は非常識になったもの、あるいは逆にこの本に書かれていることが間違いだったとわかったもの・・・医学書と同様、ここに並んでいる昔の本は今読んでも意味を成さないものが多いような気がするのです。だから、職場のスタッフに「読みたい人がいたらあげるよ!」と声を大にして云えないのであります。

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