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みんな一緒に歳を取る

「わたしも、来年度いっぱいで定年になりますよ」
常連の受診者さんにそんな話をしたら、
「え、先生、もうそんな歳になるんですか?」と驚かれました。
「はい。まあ、私だけが歳を散るわけではありませんからねー(笑)」
「まあ、そりゃそうですけど」

こんな会話が最近多くなってきました。わたしからみても、遠い昔、まだ30代の頃から知っている同僚や患者さんは、感覚的にずっと当時のままだと思っている(理屈では当時とは違うとわかっているけれど感覚的に当時と同じと思う)ので、ふと実年齢を知って我に返ったりします。そして、彼(彼女)がその年令だと云うことは・・・と冷静に考えて、自分も同じ数だけ歳を重ねていることに気づかざるを得ないわけです。わたしは特に子どもや孫がいないためにずっと40代くらいの気持ちでいるものだから、鏡に映るシルエットが「どこのじいさんかい?」と云いたくなるような風貌で愕然としたりしても、どこか認められない自分がいる。これはある意味、不幸。ちゃんと歳を取るとともに徐々に心も老けて行くべきなのに、心だけが取り残されていっているから。でも一方ではある意味、幸せ。自分の年令を実感しないままに老けて生きていけるのだから。

で、道を小走りしたり階段を駆け上がっていたりして、「どうだい軽いフットワークだろ」と自慢したいのに、「おじいちゃん、お気を付けて。あまり無理しないように」とか赤の他人に云われて頭にきたりするわけですよ。「おれをジジイよばわりしやがって!」と(それは、遠い昔のわたしの父の実話ですけど)。

 

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