HDL神話を壊す
『“善玉”として知られているHDL-コレステロール(HDL-C)は、心臓の健康にそれほど大きな違いをもたらさないことを示すデータが報告された。白人と黒人の比較では、後者において特にその可能性が大きいという。米オレゴン健康科学大学のNathalie Pamir氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American College of Cardiology(JACC)」に11月21日掲載された。』(HealthDay 2022.12.9配信)
HDLコレステロールは血管内をパトロールして血管壁にくっついて余っているLDLコレステロールなどを回収する作用があることから”善玉”と呼ばれているのですが、そもそもこれはそんな理屈付けの前に1970年代にアメリカで行われたフラミンガム研究で「HDLコレステロールが高いほど虚血性心疾患リスクが低いことが示された」ことに起因しているわけです。でも、”当時のフラミンガム研究の参加者は大半が白人だった”という事実があり、黒人を調べたら黒人はさほどHDLコレステロールの恩恵を受けていないことが分かった、というものです。
それなら黄色人種である日本人は?などという研究はもうすでに行われているはずなので結論はその報告に委ねるとして、「家族性高HDLコレステロール血症は動脈硬化リスクが返って高い」とか、あるいは「運動で上昇するHDL1に対してエチルアルコール濃度が上がるほど上昇するHDL2には善玉の作用はほとんどない」とかいうことはすでに周知の事実です。ちなみに、人間ドックの結果説明をしていると、「超善玉(長生き)ホルモンと呼ばれる”アディポネクチン”が飛びぬけて高値な人の多くはHDLコレステロールが有意に高い」という印象があります。だから、「HDLコレステロールは高くなるように生活を注意するのがいい」ということにはまったく異論はないように思います。
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