マスク顔
先日、テレビのバラエティー番組で、学校でマスクを外せない中学生の女の子の話が出ていました。中学に上がったときにはすでに新型コロナ感染社会の真っ只中で、他の小学校出身の初めて顔合わせする同級生もたくさんある中、お互いにマスク越しでしか会ったことがないから相手の本当の顔を知らない。マスク越しで新しい彼氏もできたのに、付き合い始めてもう長いにも関わらずお互いにマスクを外した顔を知らないと云うのです。「マスクを外した顔を見せたら幻滅されるかもしれないから、絶対に外せない」と。新しい友人とも本当の顔を見せるなんてとんでもないと云う。自分の裸の姿を見せるのと同じくらい恥ずかしい、という感覚なのでしょうか。
世の中、みんなそんな感じなのだと聞いています。わたしの職場でも、新人さんや配置転換のたくさんのスタッフと働いていますが、本当の顔を知らないひとがほとんどです。世間ではマスク外しをそろそろ推奨される風潮になってきたのに「そんなの、ムリムリ!」と一笑に付すお嬢さん方がたくさん居ます。彼女たちの中にはこれからを憂慮して鬱状態に陥る人も少なくないのではないかと懸念しています。わたしのような年寄りでも、マスクをしているというだけでかなり自信を持って受診者さんなどと対峙して話ができるようになっていることを自覚しています。自分のだらしない口元を見られることがない(「この人、しゃべると意外にイヤらしい口元なのね」とか思ってるんじゃないかと考えると、面と向かってまともに話せなくなるじゃないですか)からです。相手の口元が見えないことの弊害も大きいですが、相手に口元を見られないメリットも少なくないことを今回の新型コロナ騒動でしっかり認識できた気がします。
先日、妻が車を購入することになり、わたしたち夫婦の担当者(長い付き合いだったHさんが急遽退社されてその後任となったのはちょうど3年くらい前)が手続きのために我が家に来ました。茶菓子を出したので、マスクを外した姿を初めて見ました。いや、おそらく初めてではありません。一番最初に会ったときはマスク越しではなかったはずだから。でも全然覚えていませんでしたから、彼が帰った直後、「Sさんって、あんな顔だったのね。わたしが勝手に想像してた顔と全く印象が違ってたよ」と妻が云いましたが、わたしも同じ感想でした。マスク顔は、目元だけ見て話ぶりだけで勝手にマスクの中の表情を想像するわけですから、「マスクを外したら幻滅されるかもしれないから外したくない」というくだんの中学生の気持ちは理解できます。そのバラエティ番組では最後に彼氏自らマスクを外し、「ぼくも外すから君も外してほしい」と云ってお互いの本当の顔を見せ合って、「マスク外しても最高にかわいいよ」と男前な台詞を残した彼が素敵でした。
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