AIの功罪
わたしの勤務する施設では昨年あたりから積極的にAIが導入されるようになりました。内視鏡検査で導入を開始したAI技術は、先日から胸部レントゲン画像に入り込み、もうすぐ胸部CT検査にも適用される予定だと聞いています。
AI技術による読影補助は確かにわたしたちの心身の負担を軽減させてくれる良い手段だと思います。『読み過ぎ』感は否めませんが、少なくとも検査時の見落としや読影時の誤診が減るだろうと期待しているところですし、何よりも「つい見落としたのではないか」という不安にかられながら日々の読影をしているわたしたちの精神的負担を大きく軽減させてくれた効果は絶大です。
ただ、一方で今まで普通に「異常なし」と判定してきた部分にAIが「異常あり」の表示をしてしまうことが少なくなく、このときに「どうようか」と悩むことが多くなりました。所見によっては「AIは一体何をもって『異常』だと判断したのか」どうしてもわからないときも少なくありません。そしてそんな場合に、どうしても最終判定として「異常なし」と書けずに「軽度異常」を選択してしまう優柔不断さ。AIが読んでいるものを無視するのはかなりの実力と勇気が要るものなのです。そして、人間ドックの結果説明をしているときに受診者の方もその変化に気づき、「これは何が変わったのですか」と質問してくる。そうですよね、気になりますよね。わたしは正直に「問題ないと思うけどAIがチェックを入れているから無視できなかったんだと思います。今後も定期的に検査をするでしょうから変化がないか確認しますけど、少なくともこの所見は以前からあって何も変化していませんから今の時点では気にしなくていいです」と説明はしますけど、ちょっと歯切れが悪い。もしかしたら次には変化するかもしれない、そんなことまで見越してAIが読んだのかもしれませんし。早くAIももっともっと経験値を上げて、本当に異常な部位だけを100%の確率で拾い上げられるレベルに上がってほしいものです。そのときにはわたしたちは仕事を奪われますが、受ける側にしたらその方が幸せでしょう。
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