超加工食品
”東京大学は、日本人成人2,742人を対象とした食事記録のデータをもとに、菓子パンや清涼飲料などの超加工食品の摂取量と年齢・体格・喫煙状況などの個人的特性との関連を調査した。その結果、1日の総エネルギー摂取量のうち、超加工食品から平均して3~4割程度を摂取していることが示された。さらに、年齢が若い人や、現在喫煙している人ほど、総エネルギー摂取量に占める超加工食品の割合が大きいことが分かった。超加工食品を多く食べると、食事全体の質が低下する可能性があり、肥満や心血管疾患などとの関連も報告されている。「超加工食品の摂取量に関わる個人的特性を解明することは、効果的な栄養政策の方針を定めるためにとても重要」と、研究者は述べている。”(保健指導リソースガイド2023年03月20日号)
『超加工食品』というのは、”複数の食材を工業的に配合して製造された、加工の程度が非常に高い食品であり、ソーセージ・菓子パン・ポテトチップスなどのスナック・清涼飲料などが代表的”だそうです。まあ、内容は原文を読んでみてください。
書かれていることは誰でも理解できることです。「で、どうするの?」というところまでいかないとこの公衆衛生的な研究はただそれだけのことになります。「こんなのばかり食ってると生活習慣病になるぞ」なんてことは20年前にわたしが予防医学に世界に入ったときにはすでに常識でした。これだけ健康意識が高まって『食事の欧米化からの脱却』の施策がいろいろ提唱されているにもかかわらず、いまだにこんなことを云っているのだから、おそらくこれは今後も画期的な改善は得られますまい。なぜなら、これらは全て工業製品であり、企業が業績を上げるために「いかに売れる物を作るか」という産業革命時代から続く資本主義社会の企業理念が基本だからです。かなり”健康的な”作り方に換わっているんだ!と主張したところで五十歩百歩なわけですから、この状態を打破するのは、国民一人一人に手作り料理を作る努力の意識を持たせることではなく、『超加工食品』を企業に作らせないか、あるいはタバコや酒並みの高い税金をかけて高価な商品にさせるかしかないと思っています。わたしたちの世代は好んで食べないようなお菓子は今の若者たちにとっては基本中の基本の食材ですし、おそらくその親世代も好きなのでしょう。
一応、ご紹介はしておきますが、この研究結果が公表されることで、食べるのを止める若者が出てくるとは到底思えません。
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