意識のギャップ
CareNet(2023/03/12配信)に載っていたこの記事に同意。『QOL(Quality of life)=生活の質、生命の質、人生の質』というコトバ。むしろ『キュー・オー・エル』と呼んでいるようで、完全なる医学用語だと思いきや最近は普通にテレビなどでも使われている感があります。このQOLという用語に対する一般の人と医療者の受け取り方に大きなギャップがある、という話です。
『医療情報をわかりやすく発信するプロジェクト』『医学系研究をわかりやすく伝えるための手引き』などというものの存在すら今日初めて知りましたから、この手引きのシンポジウム開催も今回の情報で初めて知ることができました(さすがに参加はできませんが)。こう言う取り組みは本当に大切なことだと思います。
世界保健機関(WHO)の定める定義は「個人が生活する文化や価値観のなかで、目標や期待、基準または関心に関連した自分自身の人生の状況に対する認識」であり、先の手引きによると「病気や加齢あるいは治療により、それまでは当たり前にできていた、その人らしい生活ができなくなってしまったときに、その人がこれでいいと満足できるような生活の状態のこと」なのだそうです。そうです。QOLは元通りの生活に戻れることを前提にしていないのです。元通りにはなれないのだけれど、可能な限りそれに近づけるようにすることなわけで、『元通り』をイメージしている患者さんにとっては「全く話が違う」ということになるのは納得できます。”お互いまったく悪気はなく、自分にできる範囲で真摯に治療に向き合っているのに、用語に対する認識の違いで、不幸なすれ違いが起こっているケースは少なからずありそうです”というところに激しく合点してしまうわたしであります。
でも、どうでしょう。この意識のすれ違いが生じてしまっているのは、医療系側の説明不足、啓蒙不足というよりも,こういう情報に簡単に飛びついてくるマスコミ系担当者やテレビのコメンテーターが、事実誤認・誤解曲解したままにまことしやかな情報として流してしまったせいで生じたという要素が大きいのではないでしょうか。こういう取り組みは、こんな一部の医療現場のシンポジウムより、テレビ系の大々的な特集の方が多くの方々に知れ渡らせる手段としては有効なのではないかと感じています。是非、NHKとかで率先して手を上げていただきたいものです。
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